奈良、東大寺二月堂の修二会(しゅにえ)。通称「お水取り」と呼ばれるこの行事。
メインイベントは、暗い回廊を炎が駆け抜けるお松明と、真夜中に水をくむお水取りからなります。
特に大人気なのが「お水取り」の日の「お松明」。例年は、大混雑です。
修二会の日程・スケジュール
1)日程・スケジュール
通称「お水取り」の正式名称は「修二会(しゅにえ)」です。
修二会の期間中(3月1日~14日)、お松明は毎日行われます。一番大きな籠松明、通称「お水取り」は3月12日。
若狭からおくられた水をくむ「お水取り」は、日付が13日に変わった深夜に行われます。
修二会日程
3月1日(月)~14日(日)
3月1日~11日、13日
19時~
*籠松明12日(金)19時半~
*14日(日)18時半~
3月13日午前1時~
2)拝観の制限
修二会は「行」なので、2021年も行われます。
新型コロナウイルス感染対策のために、「お松明」も「お水取り」も、中止されません。
が、拝観には制限があります。
二月堂下芝生や広場の人数が一定数以上になれば、第2拝観所へ誘導。第2拝観所も同様になれば、拝観できないことがあるとのことです。
・・・11日までのお松明も、見ごたえがあり、火の粉のご利益や、感動も変わりません。
今年ぜひ、という方は、マスクなど対策をしてご拝観ください。
*「夕方5時以降は、二月堂周辺の事前に設定された区域内に滞在することも出来ません。」
今年も、
今回はなるべく拝観をお控えください。
ー東大寺 TOPICS
とのことです。
今年は練行衆の合宿も、PCR検査の実施など、コロナの感染対策を行いながら実施されています。
ぜひ参拝されたい方は、11日までに。
3)動画配信
今年は控える方には、動画配信があります。
ニコニコ動画で。二月堂を遠景から。
お松明・お水取り、時間と混雑
一般に「お水取り」といえば、12日の「籠松明」ですね。
でも、正式には「お水取り」は13日未明の、水をくむ行事のことなんですよ。
1)お松明の時間
「お松明」は「行」。天候にかかわりなく、雨でも行われます。
1日~11日、13日
1日~11日、13日 19時~
籠松明の12日と最終日14日以外は、毎日10本の松明で行われます。
重さ40kg、長さ7mの松明が、10本、回廊を走ります。12日の籠松明に比べ遜色はありません。
*所要時間:20分ほど
12日:籠松明
12日(木)19時半~
13日未明の「お水取り」に先んじて行われる籠松明(かごたいまつ)。
松明は11本に増え、サイズも他の日より大きくなり、重さは1.75倍。参拝者も一番多くなります。
「籠松明」ってどんなもの?
ふつうの日の松明は、竹を軸にして松葉をからめたもの。
「籠松明」は、薄い松の板を籠のように編んで、松葉をたくさんからめることができるようにしたものです。
松明は、重さ70kg、直径70cm、竿の長さ8m。重く長く、ぐっと大きくなります。
*所要時間:11本が全部通るのに、1時間ほどかかります。
14日:横並び
15日の満行に向け、10本の松明がつづいて走り、横並びします。
*所要時間:10分ほど。
2)お松明を見る場所
お松明を見ることができるのは、次の2カ所です。
3~4千人が立ち見できます。
200mほど離れています。席とはいえ立ち見です。遠いです。でも遠くを走る炎は幻想的。
3)混雑の具合
例年は、
4)12日当日、混雑を避けるには
-1二月堂下の広場に入るために
5時までには誘導路に並びましょう。混雑は避けられませんが確実に見れるように。
鐘楼から誘導路ができますが、毎年18時頃には誘導路まで満員になります。
*大鐘の手前に並んでも入場はできません。
*整理券が配られることもあります。
-2最後まで見られるとは限らない
早く行っていい場所を取っても警察の指導で動かされることもあります。
さらに、誘導路で並んでいても入場できない人達などにもチャンスを与えるため、籠松明が終わらない内に第二拝観席へ誘導されることもあります。
・・・早くから並んでも、いろいろ不利なこともありうる12日です。
-3おすすめ:12日以外
12日の籠松明は大きいですが、他の日の松明も見ごたえ十分。
人数も少なめで、集中しやすいです。6時ころまでに行って、間近で火の粉を浴びたら、心身が洗われてご利益も大きそう。
5)お水とり
3月13日午前1時~
お水取りは深夜に行われます。でも、神秘的な行事で、やはり混み合います。
二月堂から若狭井まで通路のそばに並んで見学します。
*お水取りで汲まれた水「お香水」は、二月堂受納所で一瓶300円で随時授与されます。
修二会・お松明・お水取りとは
1)修二会の由来
修二会は「しゅにえ」と読みます。昔は2月に行われる修行だったのでこう呼ばれていました。
752年平安時代に始まり、大火事で伽藍が焼け落ちても休むことなく続けられた不退の行法。2019年は1268回目にあたります。
修二会は十一面悔過法(じゅういちめんけかほう)という名の「行」です。厳しい節度と、たくさんの決まり事があります。
修二会とは
練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる行者のみなさんが、精進潔斎して過去の罪障を懺悔。
その功徳によって仏法の興隆、天下の泰安、万民の豊楽、五穀豊穣などを祈るもの。
自らの修行で私たち一般衆生をも救うんですね。
練行衆の僧侶は、初めての行なら2月15日から、経験者なら2月20日から、暖房も火鉢もない戒壇院の庫裡(くり)で1日1食の生活をします。食事の後は水もとりません!
「お松明」と「お水取り」も、この行の一つです。
2)お松明の由来
お松明は、練行衆が夜の行を始めるとき、暗い階段や廊下を照らすための明かりでした。
もともとは小さい実用的な松明だったのですが、江戸時代から大きくなって、練行衆の行の手伝いをする僧たち(童子と呼ばれます)の見せ場となりました。
1本のお松明をかかげた童子につづいて、一人の練行衆が道内に入っていくという形です。
お松明の火を浴びると、1年間無病息災に過ごせて幸せになるといいます。
燃えカスを護符として、大切に持ち帰る方もいます。
3)お水取りの由来
遅刻した神さま
東大寺二月堂の修二会で神名帳を読んで全国の神さまを招いたとき、若狭の遠敷明神(おにゅうみょうじん)は遅刻してしまいました。
漁に夢中だったんです。
そのおわびに、遠敷明神は、二月堂の本尊にお供えする水を、若狭から送ると約束しました。
若狭から水を送る
遠敷明神をまつるのが若狭神宮寺。福井県小浜市にあります。
毎年3月2日、この若狭神宮寺では、東大寺二月堂の「若狭井」に水を送る神事が行われます。
神社から2㎞ほど遠敷川をさかのぼったところにある「鵜の瀬」という淵と、東大寺二月堂の「若狭井」が地下で通じているとされているんです。
送られた水をくむ
二月堂の若狭井で、この水(お香水)を汲んで、須弥壇の下の香水壺に運ぶのが「お水取り」。
3月13日午前1時過ぎ、雅楽の演奏の中白い装束の練行衆がおけで水(お香水)を運びます。
↓1分過ぎ、ほら貝の音とともに。
「お水取り」の椿菓子
2月23日は「花ごしらえ」の日。練行衆は、紙で椿の造花を作ります。
この椿の花は3月1日から14日までの行の間中、本尊の十一面観音の祭壇に飾られます。
この椿にちなんだ「お水取りの椿菓子」が和菓子屋さんで売られています。甘いきれいな紅白の練りきりです。
基本情報・アクセス
【住所】奈良市雑司町406-1
【地図】こちら
【拝観時間・拝観料】
・境内自由、無料
【大仏殿・法華堂・戒壇堂】
・拝観時間 8時~17時*3月中
・拝観料 大人600円
【問合せ】0742-22-5511寺務所
【公式サイト】華厳宗大本山東大寺
まとめ
東大寺は華厳宗のお寺ですが、修二会では、密教のような「お松明」があって、神道のような「お水取り」もあって。どちらも夜の行なので、神秘的です。
12日の籠松明、14日の松明の横並びが特にすばらしいですが、ほかの日なら混雑少なめで、松明の火の粉を浴びやすくなります。*今年は、11日まで参拝可能です。
「お水取りが終わると奈良は春」といわれます。まだ夜はとっても寒いので、暖かくして、コロナに気をつけながらお出かけください。