奈良、東大寺二月堂の修二会(しゅにえ)。通称「お水取り」と呼ばれるこの行事。
メインイベントは、暗い回廊を炎が駆け抜けるお松明と、真夜中に水をくむお水取りからなります。
今年は、「お水取り」の日の「籠松明」は非公開。ほかの日の「お松明」は、人数を制限して行われます。
修二会は、天下の泰安を祈る行でもあります。
東大寺では、2020年の4月から、コロナ終息を祈って毎日読経をされています。
お松明に参拝して、ともに、コロナを遠ざけたいですね。
ここでは、2022年東大寺二月堂修二会の
・日程・スケジュール
・「お松明」「お水取り」の時間と混雑
・修二会、お松明、お水取りの由来
について、ご紹介します。
修二会の日程・スケジュール
1)日程・スケジュール
通称「お水取り」の正式名称は「修二会(しゅにえ)」です。
修二会日程
3月1日(火)~14日(月)
修二会の期間中(3月1日~14日)、お松明は毎日行われます。
:3月1日~11日、13日
19時~ 約20分
籠松明 *今年2022年は非公開
:12日(土)
19時半~ 約45分
:14日(月)
18時半~ 約10分
:3月13日
午前1時~
・・・若狭からおくられた水をくむ「お水取り」は、日付が13日に変わった深夜に行われます。
2)拝観の制限
修二会は「行」なので、2022年も行われます。コロナに関わらず、「お松明」も「お水取り」も、中止されません。
が、今年も、コロナ対策のため、拝観に制限があります。
12日の「籠松明」以外は、人数は制限されますが、拝観できます。
二月堂下芝生や広場の人数が一定数以上になれば、第2拝観所へ誘導。
第2拝観所も同様になり、制限人数を超えれば拝観できないことがあります。
*予約はできません。
いちばん大きなお松明「籠松明」は、今年2022年も拝観できません。
夕方5時以降は、二月堂周辺の芝生や広場など、事前に設定された区域内には滞在できなくなります。
*今年2022年は、昨年のような奈良公園でのライブ配信は行われません。
お松明・お水取り、時間と混雑
一般に「お水取り」といえば、12日の「籠松明」ですね。
でも、正式には「お水取り」は13日未明の、水をくむ行事のことなんですよ。
1)お松明の時間
「お松明」は「行」。天候にかかわりなく、雨でも行われます。
1日~11日、13日
1日~11日、13日 19時~
・・・籠松明の12日と最終日14日以外は、毎日10本の松明で行われます。
重さ40kg、長さ7mの松明が、10本、回廊を走ります。11日までのお松明も、見ごたえがあり、火の粉のご利益も変わりません。
*所要時間:20分ほど
12日:籠松明:今年は非公開
12日(土)19時半~
13日未明の「お水取り」に先んじて行われる、籠松明(かごたいまつ)。
松明は11本に増え、サイズも他の日より大きくなり、重さは1.75倍。参拝者もいちばん多くなります。
*所要時間:11本が全部通るのに、1時間ほどかかります。
14日:横並び
・・・14日は、15日の満行に向け、短い間に、お松明が連続して上がり、横並びします。
*所要時間:10分ほど
2)お松明を見る場所
お松明を見ることができるのは、次の2カ所です。
制限がないときは、3~4千人が立ち見できます。
200mほど離れています。席とはいえ立ち見です。遠いです。でも遠くを走る炎は幻想的。
3)混雑の具合
今年は、12日は非公開、1日~11日、13日・14日は、人数制限ありなので、例年のような混雑はありませんね。
4)お水とり
3月13日午前1時~
お水取りは深夜に行われます。神秘的な行事で、例年はやはり混み合います。
二月堂から若狭井まで通路のそばに並んで見学します。
修二会・お松明・お水取りとは
1)修二会の由来
修二会は「しゅにえ」と読みます。昔は、2月に行われる修行だったのでこう呼ばれていました。
752年平安時代に始まり、大火事で伽藍が焼け落ちても休むことなく続けられた不退の行法。2022年は1271回目にあたります。
修二会は十一面悔過法(じゅういちめんけかほう)という名の「行」です。厳しい節度と、たくさんの決まり事があります。
修二会とは
練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる行者のみなさんが、精進潔斎して過去の罪障を懺悔。
その功徳によって仏法の興隆、天下の泰安、万民の豊楽、五穀豊穣などを祈るもの。
自らの修行で、私たち一般衆生も救ってくださるんですね。
練行衆の僧侶は、初めての行なら2月15日から、経験者なら2月20日から、暖房も火鉢もない戒壇院の庫裡(くり)で1日1食の生活をします。食事の後は水もとりません!
「お松明」と「お水取り」も、この行の一つです。
2)お松明の由来
お松明は、練行衆が夜の行を始めるとき、暗い階段や廊下を照らすための明かりでした。
もともとは小さい実用的な松明だったのですが、江戸時代から大きくなって、練行衆の行の手伝いをする僧たち(童子と呼ばれます)の見せ場となりました。
1本のお松明をかかげた童子につづいて、一人の練行衆が道内に入っていくという形です。
お松明の火を浴びると、1年間無病息災に過ごせて幸せになるといいます。
燃えかすを護符として、大切に持ち帰る方もいます。
3)お水取りの由来
お水取りには、遠く若狭の神さまが関わっています。
-1遅刻した神さま
東大寺二月堂の修二会で神名帳を読んで全国の神さまを招いたとき、若狭の遠敷明神(おにゅうみょうじん)は遅刻してしまいました。
漁に夢中だったんです。
そのおわびに、遠敷明神は、二月堂の本尊にお供えする水を、若狭から送ると約束しました。
-2若狭から水を送る
遠敷明神をまつるのが若狭神宮寺。福井県小浜市にあります。
毎年3月2日、この若狭神宮寺では、東大寺二月堂の「若狭井」に水を送る神事が行われます。
神社から2㎞ほど遠敷川をさかのぼったところにある「鵜の瀬」という淵と、東大寺二月堂の「若狭井」が地下で通じているとされているんです。
水は10日間かけて、二月堂の若狭井に届きます。
-3送られた水をくむ
二月堂の若狭井で、この水を汲んで、須弥壇の下の香水壺に運ぶのが「お水取り」。
3月13日午前1時過ぎ、雅楽が演奏され、白い装束の練行衆がおけで水(お香水と呼ばれます)を運びます。
↓1分過ぎ、ほら貝の音とともに。
*お水取りで汲まれた水「お香水」は、二月堂受納所で随時授与されます(有料)。
✔「お水取り」の椿菓子
2月23日は「花ごしらえ」の日。練行衆は、紙で椿の造花を作ります。
この椿の花は3月1日から14日までの行の間中、本尊の十一面観音の祭壇に飾られます。
和菓子屋さんでは、「お水取りの椿菓子」が販売されます。
甘いきれいな紅白の練りきりです。
・公式サイト華厳宗大本山東大寺
・寺務所 0742-22-5511
まとめ
東大寺は華厳宗のお寺ですが、修二会では、密教のような「お松明」があって、神道のような「お水取り」もあって。どちらも夜の行なので、神秘的です。
12日の籠松明、14日の松明の横並びが特にすばらしいですが、ほかの日は混雑少なめで、松明の火の粉を浴びやすくなります。
今年2022年は、コロナ対策のため12日の籠松明は非公開。でも、ほかの日は人数は制限されますが、参拝できます。
「お水取りが終わると、奈良は春」。まだ夜はとっても寒いので、暖かくしてお出かけください。