2021年冬(2020年12月~2021年2月)は、ラニーニャの冬でした。12月と1月に平年より寒い期間があり、大雪も降りました。
前年2020年冬が、東・西日本では記録的な暖冬だったので、この冬はかなり寒く感じました。
でも、冬が終わって、3カ月を平均してみると、
・東・西日本は、暖冬
・西日本で、記録的な日照時間
となりました。
寒い冬から暖い冬になり、この後も5月ころまで、平年より気温が高い予想になっています。
高温傾向は変わらないようです。
2021年12月から2022年2月までの冬の寒さは、こちらで↓

ここでは、2021年冬(2020年12月~2021年2月)の「冬の寒さ」について、
・気温
・生物・季節現象から
・暖冬の理由
について、ご紹介します。
1 2021冬の気温
1)冬3カ月、平均すると
12~2月を平均すると、北日本は平年並みの気温。東・西日本は、平年より高温でした。
特に、関東甲信・東海・近畿は、平年より1℃以上高く「かなり高い」となりました。
気温の平年差
関東甲信 +1.1℃
東海 +1.1℃
近畿 +1.0℃
2)各月では:1月上旬冷え込み、後は高温
地域平均気温経過図によると、12月中旬から1月上旬までは、全国的に平年より低温の期間があります。
特に1月上旬は、強い寒気が流れ込んで、北日本、西日本、沖縄・奄美の旬平均気温は、平年より「かなり低い」となっています。
ところが1月中旬頃からは、平年より高くなり、全国的に、平年よりも3℃以上高いときもあります。
2月の平均気温平年差をみてみると、関東から東海、西日本が濃いオレンジ色。平年より2℃以上高くなりました。
図の赤い部分が気になりますね。
・・・千葉市の2021年2月の日平均気温は9.2℃。平年は6.1℃ですから3.1℃も高くなっていました。平年の3月の8.9℃より高いです。
平均気温が3℃以上高いというのは、かなりの暖かさ。
最高気温の平均は13.5℃で、平年の3月(最高平均13.2℃)並みの暖かさでした。
関東甲信から西日本の平均気温も、2℃以上高くなっています。
気温の平年差
関東甲信 +2.6℃
東海 +2.4℃
近畿・九州北部 +2.5℃
3)最低・最高気温と冬日・真冬日
ー1いちばん寒かった日・暖かかった日
気温が高くても低くても、風が吹くと体感温度は下がります。
そこで、最高に寒かった(暖かかった)とはいえないかもしれませんが、気温が最低だった日と最高だった日をふり返ってみましょう。
気温が最低だった日(12~2月)
・東京 1/10 -2.4℃
・名古屋 1/9 -3.7℃
・大阪 1/8 -1.5℃
1月上旬は、強い寒気が流れ込んだ時期。
気温が最高だった日(12~2月)
・東京 2/22 21.9℃
・名古屋 2/22 21.0℃
・大阪 2/14 20.5℃
-2 冬日と真冬日
「冬日」は、日最低気温が0℃未満(氷点下)の日、「真冬日」は、日最高気温が0℃未満の日です。
・名古屋 18日間
・大阪 7日間
東京・名古屋は、12月にも2月にも冬日がありました。
名古屋は、冬の平年の気温が、東京や大阪よりも低くなっています。寒いんですね。
冬(12~2月)の平年気温(平均)
・東京 6.1℃
・名古屋 5.5℃
・大阪 6.9℃
*東京・名古屋・大阪には、「真冬日(最高が0℃未満)」はありません。
日本で一番寒いといわれる北海道十勝の陸別町では、冬の間は、毎日「冬日」。
1月の平年の最低気温平均は、-20.2℃。今年2021年の1月2日には、最低気温-27.3℃になりました。

ja:User:Lincun, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で
2 生物・季節現象から
1)初霜、初氷
初霜も初氷も、平年では、名古屋が東京・大阪より早いです。
2021年は、東京は平年より早め、名古屋は2週間ほど遅くなりました。
東京
:初霜 12/15(平年差-5日)
:初氷 12/15(〃-2日)
名古屋
:初霜 12/10 (〃+13日)
:初氷 12/17 (〃+15日)
大阪
:初霜 12/17 (〃+12日)
:初氷 12/17 (〃+3日)
2)初雪
昨冬2020冬は、遅かった!
前年の2020冬(2019年12月~2020年2月)は、記録的暖冬で、名古屋と福岡は、昨冬は観測史上、最高に遅れました。
・・・名古屋は、平年12/20のところ、2020冬は2/10。福岡は、平年12/15のところ、2/17でした。
東京は1/4で、平年より1日遅いだけでしたが、大阪は、平年より2週間遅れで1/5でした。
2021冬は、おおむね順調
この冬の初雪
札幌:11/4(平年10/28)
東京:1/12 ( 〃1/3)
横浜:12/14 ( 〃12/13)
名古屋:12/15 ( 〃12/20)
大阪:12/30 ( 〃12/22)
福岡:12/15( 〃12/15)
*都市部で初雪が早いのは、横浜です。
3)春一番
2021年は、立春が2月3日。2021年の日本で最初の春一番は、2月4日に関東地方で吹きました。
1951年の観測開始以降で、最も早い春一番でした。*暖冬だから早いというわけでもありません。
東京で、最大瞬間風速15.2m。横浜で18.3mでした。
2021年春一番
関東:2/4
東海・北陸・中国・四国・九州北部:2/20
近畿:3/2
九州南部:観測なし
3 暖冬の理由
1月上旬まで寒い時期があり、その後平年より高温になって、暖冬になったのはどうしてでしょう。
1)ラニーニャらしい寒さも
2020/21冬は、ラニーニャ現象が続いていました。
ラニーニャは、冬をより寒く、夏をより暑くする傾向があります。
日本では、冬(12~2月の平均)への影響は有意ではありません。
が、12月を中心とした11~1月の平均気温は、ラニーニャの年には、東日本で「低い」確率が57%と有意に低くなっています。
西日本も、統計的に有意ではないのですが「低い」確率は50%。
12月には、ラニーニャで寒冬になるのではないかと、気象各社で予測され、実際に、12月中旬から1月上旬にかけて、全国的に低温になりました。
2)偏西風が平年より北に蛇行
1月下旬には、偏西風(ジェット気流)が、平年より北を流れるようになりました。
北からの寒気の南下を抑えて、日本への寒気の流れ込みは弱くなりました。
3)全球で気温が高い(温暖化)
WMO(世界気象機関)によると、
「エルニーニョやラニーニャは、地球の気候システムの重要な動力だ。が、現在の気候イベントは、人間が引き起こす気候変動(地球温暖化など)との関わりで起きている」
とのこと。Press Release Number:09022021 WMO
「ラニーニャは、地球を冷やす効果があるが、2020年が、史上3位に入る気温の高い年になるのを防ぐことはできなかった。」WMO
2020年も、全球的に、気温が高かったんですね。
日本の2020年1年間の平均気温も、平年より「かなり高い」ものとなりました。
東日本は、統計開始(1946年)以降、第1位の高温でした。
・気象庁 2020年(令和2年)の日本の天候
まとめ
2021年の冬(2020年12月~2021年2月)は、ラニーニャの冬らしく、12月中旬から1月上旬は、平年より寒くなりました。
その後、気温は平年より高くなり、2月は、関東甲信から西日本は「平年よりかなり高い」状態に。
終わって平均してみると、東・西日本は、今年もまた「暖冬」でした。