「晩秋」には3つの意味があり、時期も違います。
会話や報道で使われている時期でも、俳句や時候のあいさつでは使えなかったりします。
ここでは、「晩秋」の意味と時期、「晩秋の候」の使い方などをご紹介します。
「晩秋」の意味と時期
晩秋(ばんしゅう)には、「秋の末」「旧暦9月」「二十四節季での三秋の最後」という意味があり、それぞれ時期や使い方が違います。
1)秋の末
2)旧暦(月切り):9月
3)旧暦(節切り)
:二十四節季の寒露~立冬の前日まで
1)「秋の末」として
晩秋は、一般には「秋の末」という意味で使われます。
秋が深まって、木の葉も深く色づいている。だんだん冬が近づいて、紅葉も散り始める、といったイメージがありますね。
会話やSNSでは、11月後半~12月初めまで使われています。
報道などでは、晩秋11月中は「晩秋」が使われ、12月に入ると「初冬」が使われているようです。
11月後半~12月初め
*12月初めは初冬も使う
2)「旧暦の月切り」の9月
旧暦(太陽太陰暦)には、季節に「月切り」と「節切り」があります。
旧暦の日付は、月の満ち欠けをもとにした太陰暦。1か月は29日か30日です。
月切りでは、7月から9月が秋。9月が晩秋です。
旧暦の秋
・初秋7月
・仲秋8月
・晩秋9月
*旧暦の日づけは、太陽暦にあてはめると、毎年時期が変わります。
3)「旧暦の節切り」で 寒露~立冬の前日まで
旧暦の太陽暦部分である二十四節季は、太陽の位置で1年を24の季節に分けたもの。「暦の上では…」の暦がこちらです。
二十四節季の秋は、立秋から立冬の前の日まで。「初秋」「仲秋」「晩秋」の三秋に分かれます。
二十四節季の秋
・初秋:立秋・処暑
・仲秋:白露・秋分
・晩秋:寒露・霜降
*「寒露」「霜降」の期間は、立冬の前日まで。
俳句の季語としては、この時期が晩秋です。
時候のあいさつも二十四節季によります。「晩秋の候」はこの時期。
*立冬は11月7日
気象庁には、「晩秋」についての定義はありません。気象用語の説明では、木枯らし1号、春一番などで、二十四節季を使っています。
「晩秋の候」の使い方
ビジネスでは
ビジネスでは、二十四節季にしたがいます。
でも、10月上・中旬は、まだ夏日もあったりします。旧暦が使われた江戸時代は、小氷期。現代の季節感には合いませんね。
ほかの表現も考えましょう。
晩秋の候
終わり
:「立冬」の前日まで
始まり10月上旬
:季節感に合う他の挨拶にする
10月~12月初めに使える挨拶
10月~11月上旬 | 「爽秋の候」爽やかな秋の頃 |
「秋涼の候」秋の涼しい風が感じられる頃 | |
10月後半 | 「秋冷の候」肌に空気の冷たさを感じる頃 |
11月中旬から11月終わり | 「向寒(こうかん)の候」日に日に寒くなる頃 |
「霜秋(そうしゅう)の候」秋が深まって霜が降りる頃 | |
12月初め | 「初冬の候」冬が訪れた頃 「霜寒(そうかん)の候」霜が降りて寒い頃 |
仲間とのメールや、会報などでは
実感や報道に合わせて、11月後半頃に使った方が、共感をよびそうですね。
まとめ
「晩秋」の3つの意味
1)「秋の末」
2)旧暦の九月
3)旧暦「寒露」~「立冬」の前日
時候の挨拶「晩秋の候」は、二十四節季「寒露」~「立冬」の前日まで。2021年は、10月8日~11月6日です。
メールや形式ばらない文章では、「晩秋=秋の末」という意味で、実感に合わせましょう。11月後半~12月初めころに、よく使われています。