「小春日和」ということばには、春のほのぼと暖かいイメージがありますね。
寒い冬が終わるころ、ときどき暖かい日があると「小春日和かな」とうれしく感じます。
でも、本当は「小春日和」は晩秋の気候。寒さに向かう暖かさです。
ここでは、小春日和の意味と時期、気象庁の定義と季語としての時期、世界の小春日和などについてご紹介します。
小春日和の意味
1)小春日和の意味
小春日和(こはるびより) ー広辞苑ー
・小春の頃の暖かいひより。
(旧暦10月の暖かい天候)
・小六月
(意味:旧暦10月)
・冬の季語
小春日和とは「旧暦10月の暖かい天候」のこと。(2018年は11/08~12/06)
秋、だんだん寒くなる頃に、突然春のように暖かく晴れるのが「小春日和」の日です。
10月は気候が「春」と似ているため「小春(しょうしゅん、こはる)」と呼ばれていました。
「小春」の「小」には標準に満たないという意味があります。・・・旧暦10月は「春」の標準には満たないので「小春」。
*旧暦10月は「小六月(ころくがつ)」とも呼ばれました。六月のような暖かい天候(新暦の7月頃)から。
2世界の小春日和(英語では?)
四季がある国には、日本と同じように「小春日和」の現象があります。
そして誰にとっても嬉しい暖かさだからでしょうか、どの国にも「小春日和」にあたる名前があります。
アメリカ・カナダでは
インディアン・サマー Indian summer
「秋に時々みられる季節外れの晴れた暖かい日」のことです。
*インディアンの夏?
ネイティヴ・インディアンがアメリカ大陸に入植した白人たちにこの現象を教えたからインディアン・サマーと呼ばれるようになったといった説があります。
イギリスでは
聖マーティンの夏 St. Martin’s summer
「聖マーティンのお祭りの日11月11日頃に訪れる、穏やかで暖かい日」のこと
ドイツでは
老婦人の夏(おばあさんの夏)
Altweibersommer(old women’s summer)
ドイツでは、9月のよく晴れた朝にサラグモと呼ばれるクモがお尻から糸を出しながら風に乗って飛ぶそうです。
それが老婦人の白髪のようだからこの名前がついたとされています。
*ドイツの小春日和は9月。ドイツは北海道より北にあります。9月はもう寒いんですね。
小春日和の時期はいつ?
1)気象庁の定義では
気象庁の定義は
小春日和
:晩秋から初冬にかけての暖かく穏やかな晴天
実は、この「晩秋」「初冬」の時期について明確な定義がないんです。そこで、「小春日和」は気象予報士の判断次第ということに。
*気象庁は天気予報で「小春日和」は使いません。報道発表などでは使います。
2)小春日和の判断は
小春日和とするかどうかは気象予報士の判断によります。旧暦10月に従う方、11月とする方に別れます。
旧暦10月に従う気象予報士もいらっしゃれば、11月いっぱいを対象にする気象予報士もいらっしゃいます。
・・・11月いっぱいを対象にする理由は、旧暦はズレの幅がおおきいから。
たとえば旧暦10月は2016年10/31~11/28、2017年は11/18~12/17と3週間近くずれます。
そこで同じ日、同じ天候でもテレビ局によって「小春日和」と言う所と言わない所があったりします。
統一してほしいような気もしますが^^いい点もあって、北日本が大荒れでも関東の放送局では「小春日和」とされたり、地域に即した予想や解説をしてもらえます。
いつまで
期限は旧暦10月の終わりか新暦11月終わりですが、終わりは決まっていなくてもいいんです。
なぜなら、小春日和は寒くなるとなくなります。
11月下旬には暖かく穏やかな日は少なくなり、太平洋側では寒い晴れた日に、日本海側では時雨の日に移り変わっていきます。
*たまに12月に入ってからも暖かい日があり小春日和と呼ばれることがあります。
3)俳句の季語としては
小春日和は冬の季語。
現代では旧暦10月ではなくて、「立冬」11月7日頃を過ぎたあとの、よく晴れて春のように暖かい日々をさして使われているそうです。
ー松本たかしー冬の初め、宝物のような小春日和の日になって、喜び感謝している
3小春日和の後の天気
高気圧が連なってやって来たり(帯状の高気圧)日本を覆うような大きい高気圧が来ると日本は秋晴れになります。
秋晴れで暖かい日が「小春日和」。小春日和はどれくらい続くのでしょうか。
パターン1)晴れるが寒くなる
小春日和は長くは続かず、晴れても気温が下がり、冷たくからっとした秋晴れになったりします。
*寒暖の気温差が大きい
小春日和の前後は最高気温が5℃以上違ったりします。
さらに、晴れると夜は放射冷却で冷え込み寒い朝を迎えることも多く、1日の気温差も10℃以上に。
風邪を引いたり心臓や血管への負担も大きくなります。朝晩はスカーフ・マフラーなどで体温をキープしましょう。
パターン2)雨になったり大風が吹く
「小春日和」でほっとしたのもつかの間、寒冷前線が通過したり暖気や寒気が流入して、雨が降ったり大風が吹き荒れたりと、天気が荒れることもあります。
終わりに
うれしい小春日和ですが、本当の春に向かう暖かさではなく、寒い冬に向かう一時的な暖かさ。
長くは続かずちょっとはかない感じもします。そこで他の国々でも小春日和の日を大切に楽しんできたんですね。
気温差が激しくなります。お元気でお過ごしください。