New!8/23 利根川系8ダムの貯水率58%
昨年、一昨年の90%近くまで回復しています。平年比でも75%に!
1994年列島渇水の同じ時期よりも貯水率はぐっと多くなりました。
・・・8月下旬・9月にしっかり雨が降ればもう大丈夫ではないでしょうか。
ここでは現在の水不足の状況・解消の見込み、これから東京・首都圏に何が起きるのか?過去の例からご紹介します。
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2016水不足の今
1)最新情報(8/23)
-1ダムの貯水量は増えた!
東京都によると8/23ダム貯水率
・利根川系8ダム平均で58%
・平年の貯水量の75%
平年よりぐっと少ないですが、2015年同日の86.9%、2014年同日の90.6%です。
もう水不足の心配は要らないのではないでしょうか。
利根川水系ダムの貯水量のグラフ
赤線が今年の水量。下の2本の折れ線が平成6年と8年で給水制限が行われた年です。
9月にしっかり秋の長雨が降ってくれれば、もう大丈夫ですね。
緑の線が平年の貯水量。
-2八木沢ダムの現況
渡良瀬貯水池など100%を超えるダムのおかげで利根川水系ダム全体の貯水率は何とか58%になっています。八木沢ダムだけでは45%(8/23)。八木沢ダムは利根川系8ダムの全貯水量の1/4を占める大きなダム。ここの水が増えると安心です。大ざっぱですが平年の2/3くらいに回復しているようです。
↓8/23の矢木沢ダム:貯水率45%。
↓満水時の水量。
矢木沢ダムは7月~9月の夏期制限容量がありません。単純に比較できます。
*夏期制限容量とは
7月~9月、台風による洪水に備えてダムに空き容量を確保。残りの容量が貯水率100%とみなされる。
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2)これまでの経緯
・6月には過去最低で平成6年列島渇水よりも少なかった利根川水系の貯水率。・7月上旬になっても1番大きな八木沢ダムの貯水率は20%台。
・でも8月3日には八木沢ダムは38%に!
まだクラクラするくらい少ない貯水率ですが、利根川水系ダム全体の貯水率は1994年の列島渇水の同じ時期より高くなりました!
3)何とかなるかも!
8月3日利根川系8ダムの合計は57.5%の貯水率。昨年はこの時期の貯水率98.6%、一昨年は96%でした!今年は半分くらいといってもいい少なさです。
でも国土交通省関東地方整備局の貯水量のグラフを見ると、今年は何とかなるのではないかという気がしませんか。

出典:国土交通省関東地方整備局
・赤が今年2016年・青が昨年2015年・緑が列島渇水の平成6年です。
赤線の最後が8月1日。昨年の青線に比べると悲しいほど少ないですが緑の列島渇水に比べたら^^
列島渇水でも一部の地域が時間給水(断水)になっただけ。今年は最悪で時間給水(減圧)で終わりそうですね。
*減圧:水圧が下げられて水道から出る水の勢いが落ちる。
4)これからの雨
8月の降水量:平年並み
1ヶ月予報(7/30~8/29)では降水量はほぼ平年並みの見込み。・・・8月後半からは秋の長雨が始まったり台風が来たりして平年並みでも雨量は多くなります。

8月~10月の秋の長雨の期間、関東では梅雨どきよりもたくさんの雨が。
平年で5~7月の降水量459mmに対し8~10月は575.9mm。およそ120mmも多く降ります。
当面は晴れの予想
ただし、お天気の予想では8月6日までは崩れやすく、その後は晴れが続く見込み。雨は望めないようです。
台風はそろそろ!
台風はまだ4号までしか発生していませんが、太平洋高気圧が弱いようだと日本に新しい台風が来る可能性もあるようです。
5)危ないのはいつ?
首都圏は慢性的な水不足です。一人が使える水の量は全国一少ない。でもダムの建設などの対策のおかげで、オリンピック渇水以降は列島渇水でごく一部が断水したほかは断水したことはありません。
利根川系のダムの貯水量が一番少なくなるのは例年8月後半~9月前半。
・平年の57.5%の貯水量+平年並みの降水量
これに台風が来て8月いっぱいを乗り切れば、9月半ばにはもう水不足のことは忘れているかもしれません。
・・・2001年のように貯水率が57%に低下しても、利根川上流にまとまった雨が降って5日で水不足が解消した例もあります。
首都圏の水不足まめ知識
1)現在の取水制限
6月16日から続く10%の取水制限。渡良瀬川では20%に強化されています。(7/7国土交通省)*2~3年に1度は取水制限
実は取水制限は首都圏にとって珍しいことではありません。
昭和47年~平成8年の25年間で取水制限は10回。2~3年に1回です。
・直近では2013年7月10%の取水制限。9月に解除。
・2001年(平成13年)8月には貯水率が57%になり取水制限。上流に雨が降り5日間で解除。
2)2016水不足の原因
渇水になった原因
・雪が記録的に少なかった
・5月の少雨(56mm)
また、5月は利根川水系で平年の48%程度の降雨量。1ヶ月に56mmってとても少ないですね。*東京の5月の雨量の平年値は137.8mmです。

✔7月の雨も少なかった!
水不足を解消するには、利根川上流に雨が降らなければなりません。利根川の栗橋の上流域の降水量を国土交通省が毎年調べています。
・・・今年は7月25日までに例年の半分(200mmに対して105mm)しか降りませんでした。
5月が平年の48%、7月が52%では水不足も仕方がありません。

3)過去の首都圏の渇水
・1964年オリンピック渇水・1987年(昭和62年)首都圏渇水
・1994年(平成6年)列島渇水
オリンピック渇水
1964年(昭和39年)東京オリンピックがあった年。東京は何と歴史的な水不足でした。東京砂漠とも呼ばれます。
給水制限(断水、給水車)
:7月~10月 最大50%
衛生状態の悪化
:食中毒が続出
:7月~10月 最大50%
衛生状態の悪化
:食中毒が続出
513日間にわたって給水制限。
ひどい時には時間給水もできなくなり給水車が出動。都民はポリバケツを持って並び水をもらいました。
病院でも水がないため手術ができない・急患以外は休診という事態に。また包丁・まな板など十分に洗うことができず魚の食中毒が続出しました。

列島渇水
1994年(平成4年)。九州北部から関東まで渇水になりました。
・福岡市:295日間に及ぶ断水。時間給水になり夜間断水が長く続きました。
・高松市:124日間の断水。
東京では7/29~9/8の6週間ほど最大15%の給水制限(減圧)が行われています。断水(時間給水)は一部の地域を除きありませんでした。

4)取水制限・給水制限の種類
水不足になってしまってからの対策は取水制限、給水制限。いろいろな程度があります。■水不足になると■
1取水制限
河川から取り込む水の量を減らします。・・・今回は利根川の取水制限10%など。でも荒川や多摩川からの水を使って、家庭にはこれまでと同じように水が供給され影響はありません。
河川から取り込む水の量を減らします。・・・今回は利根川の取水制限10%など。でも荒川や多摩川からの水を使って、家庭にはこれまでと同じように水が供給され影響はありません。
2給水制限(減圧給水)
水道は減圧されます。蛇口を開けても水が元気よく出てきません。
3給水制限(時間給水・断水)
1日の内8時間、5時間など決まった時間にしか水が出なくなります。家庭ではお風呂やポリタンク、ペットボトルなどに水をためなければなりません。初めは夜間断水から。
4給水車で給水
給水車が出動して水を供給します。1人当たりの水量が決まっていて、人はポリバケツを持って並んで水をもらいます。
給水車が出動して水を供給します。1人当たりの水量が決まっていて、人はポリバケツを持って並んで水をもらいます。
✔個人の努力には限界
水不足になると各家庭への節水が呼びかけられます。歯磨きの時の水の流しっぱなしをやめるだけでも節水になるのですが、人間に頼った渇水対策にはあまり大きな効果は望めないのではないでしょうか。
誰もが熱心に節水できるわけではありませんし、仕事で疲れて帰宅したらたっぷりお湯をはったお風呂にゆっくりつかりたいものです。
福岡市の節水対策
福岡市は1978年から1979年にかけて287日間給水が制限されました。5時間しか水が出なかった日が71日間。この大渇水の後、福岡市はダムの新築・排水管の水圧監視・調整などさまざまな対策をし一人あたり水使用量は政令市で一番少なくなっています。
✔ここで注目なのは、
福岡では新築・改築では節水型便器を奨励していること。行政の奨励なので業者にとっては義務のようなもの。節水型便器が普及しています。
管理人も福岡に住んでいた時は福岡の水量になれていました。そこで、羽田空港に降り立ったとき、そのトイレの水の多さと勢いの良さに圧倒された記憶があります。
人ではなく便器が節水!
節水型便器はふつうの便器より高額です。個人に任せると取り付けないもの。福岡市のように大渇水を経験し水源がない都市だからできることかもしれません。
でも人が努力しなくても自然に節水できてしまう仕組みをいろいろ工夫していってほしいですね。
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