からっ風が土ぼこりや枯れ葉を巻き上げる木枯らし。
ここでは、冬の訪れを告げる木枯らし1号について、
◆意味や気象庁による定義、条件
◆「春一番」との違い
◆東京・大阪以外の地域の木枯らし
◆木枯らしの頃の天気、過去に吹いた時期
◆木枯らし1号が吹く理由(メカニズム)
についてご紹介します。
*2016年は10月29日、近畿地方で、木枯らし1号が吹きました。
11月初め北日本は寒く、札幌には雪が積もりました。関東地方の木枯らし1号は11月9日に吹きました。
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木枯らし1号とは
1)木枯らしとは
意味と語源
意味
秋から初冬にかけて吹く、強く冷たい風—広辞苑
ー語源(名前の由来)
文字通り、木々の葉を散らして「木を吹き枯らす」から。・・・「凩」とも書きます。木が風に囲まれてほんろうされてる感じでしょうか。

-気象庁の木枯らし1号の定義
季節が秋から冬へと変わる時期に、初めて吹く北よりの強い風
✔春一番と似てる?
春一番と似ていますね!同じところ
季節の変わり目に吹く強い風
季節の変わり目に吹く強い風
でも少し違うところもあります。
違うところ
木枯らし1号
:秋が終わり冬間近になると吹く
初めて西高東低の冬型の気圧配置で冷たいシベリア高気圧から吹き込む北風です。春一番
:冬が終わり春間近になると吹く
冬型の気圧配置が崩れ、暖かい移動性高気圧から吹き込む南風です。

木枯らし1号
:秋が終わり冬間近になると吹く
初めて西高東低の冬型の気圧配置で冷たいシベリア高気圧から吹き込む北風です。春一番
:冬が終わり春間近になると吹く
冬型の気圧配置が崩れ、暖かい移動性高気圧から吹き込む南風です。

2)「木枯らし1号」の条件
「木枯らし1号」については、気象庁(東京について)と大阪管区気象台がより詳しい条件を定義しています。東京と大阪では、対象とする期間が違います。
東京地方(気象庁)
・10月半ばの晩秋から11月末の初冬の間に
・西高東低の気圧配置となって
・初めて吹く
・毎秒8メートル以上の
・北よりの風
*木枯らし1号の報道では、風速ではなく最大瞬間風速が発表されます。
東京は木枯らしと認定される期間は11月いっぱいまでですが、近畿は12月22日頃まで。東京よりずっと長くとられています。
近畿地方(大阪管区気象台)
・霜降(10月24日頃)~冬至(12月22日頃)まで
・西高東低の冬型の気圧配置
・初めて
・北よりの風が吹き
・最大風速8メートル以上
関東から南のカエデの紅葉は11月終わり頃。12月に吹く木枯らしは紅葉を吹き散らします。

3)東京・大阪だけじゃない!
木枯らし1号が発表されるのは東京・近畿だけ。でも「木枯らし」は秋から冬に変わる時期に日本の太平洋側に吹く冬の季節風。
発表されないだけで吹いています。
*東京・大阪以外の気象台は、これまで発表していないのでこれからも発表しない、ということのようです。残念!
そこで気象予報士の方が他の地域の木枯らしに言及されたコラムなどはネットでも見かけます。
2015年福岡ではテレビでお天気キャスターの方が10月28日福岡の木枯らし1号を発表されました。
気象庁に問合せたところ発表していいと言われたそうです。ほかのところでもやってもらいたいですね!
では各地の木枯らし1号はいつ頃吹いているのでしょう。
各地の木枯らしと思われる風
2015年木枯らし1号の発表は10月でした。関東 10月24日
近畿 10月25日
近畿 10月25日
この頃、横浜や名古屋、福岡でも北よりの風速8m以上の風を記録しています。
名古屋の木枯らし!?
:10月25日近畿と同じ日に風速9.7m北西の風
:10月25日近畿と同じ日に風速9.7m北西の風
横浜の木枯らし!?
:10月25日近畿と同じ日に風速13.7mの北風。東京に吹いた24日は風速6.6m
:10月25日近畿と同じ日に風速13.7mの北風。東京に吹いた24日は風速6.6m
福岡も木枯らし!!
:10月28日と発表
:10月28日と発表
*福岡は日本海に面していますが九州は全部太平洋側気候です。

✔太平洋側に木枯らしは吹く
10月半ば以降に北よりの強い風が吹いたら、また東京・近畿で木枯らし1号が吹いたら、天気予報のお天気キャスターのコメントに注目しましょう。
風速8m以上・冬型の気圧配置といったら、それが木枯らしです。
*日本海側・北海道は時雨や雪に
木枯らしの風は、まず日本海側に時雨をふらせ、からからに乾燥してから太平洋側に吹き込みます(これが木枯らし)。北海道は雪になることもあります。
*日本海側と太平洋側の真ん中にあたる長野や京都・岐阜などは風が吹き時雨が降ります。

木枯らし1号の天気、時期
-1どんな風?
風速は毎秒8m(風速8m)。瞬間最大風速ではなくて10分間の平均速度です。*報道では最大瞬間風速が発表されます。
秒速8m以上で10分間ずーっと吹き続ける、といえばかなりの風ですね。でも春一番ほどの大風(電車を脱線させたこともある)になることは少ないようです。
↓耳の毛が木枯らしになびいています^^
・風速8m~木が揺れ始めて池にさざなみが立ち始める
・10m前後になることも多くて~傘がさせなかったり風に向かって歩きにくくなったり
ー2寒いの?お天気は?
気温がぐんと下がるということはありません。乾いた風なので天気も晴れです。でも冷たい北風。外で風に吹かれると体感温度は低くなります。
2015年木枯らしの日
東京:最高23.9℃ 最低15.2℃
大阪:最高20.6℃ 最低13℃
朝晩の通勤時にピューピュー吹くと寒い!

-3よく吹くのはいつ頃?
一番早いとき、遅いとき
・気象庁調べでは、東京で一番早く吹いたのが10月13日、遅かったのが11月28日です。・近畿では早い時で10月23日、遅くて12月19日でした。
✔東京:11月9日!
過去の木枯らし1号を見ると・10月下旬から11月中旬までに吹くようです。
・1980年以降は毎年吹いています。*それ以前には吹かない年がありました。
*東京では「立冬11月7日頃に吹くことが多い」と言われますが、過去の発表を見てみると、そうとも言えず決まった傾向があるとはいえません。
【過去の木枯らし1号】
関東 | 近畿 | |
2006 | 11月12日 | 11月07日 |
2007 | 11月18日 | 11月18日 |
2008 | 11月01日 | 11月18日 |
2009 | 11月02日 | 11月02日 |
2010 | 10月26日 | 10月26日 |
2011 | 10月26日 | 10月25日 |
2012 | 11月18日 | 10月29日 |
2013 | 11月11日 | 11月04日 |
2014 | 10月27日 | 10月27日 |
2015 | 10月24日 | 10月25日 |
過去10年では11月中旬が4割。
2016年は11月9日に吹きました。
-4少しずつ冬へ
木枯らしが吹き荒れた翌日にはおだやかな天気になることが多くて「小春日和(こはるびより)」と呼ばれることもあります。木枯らしが吹く回数が増えていき、冬型の気圧配置がしっかりしてくると本格的な冬の到来です。

twitterでは、冷たい木枯らし1号に吹かれて、肌着をヒートテックにしたり手袋を用意したり冬用の布団にしたりと冬支度をするという人が多いです。
各地の気象台が木枯らし1号を報じてくれたら!ぜひ気象台のお墨付きで知りたいです。それに冬物の売上が上がって地方に経済効果もあるかもしれないですよ?
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木枯らし1号のメカニズム
木枯らしは冬の季節風の呼び名の一つ。冬の季節風には、時期や場所によって違う名前がついています。1)冬の季節風
西高東低の冬型の気圧配置では、大陸から日本に向かって冷たい北風が吹きます。冬の季節風です。
晩秋から初冬までに吹く強い風が「木枯らし」、しっかり冬になって吹く風は「からっ風」「◯◯おろし」と呼ばれます。
2)木枯らしが吹く理由(メカニズム)
西高東低になるとどうしてシベリア高気圧から冷たい風が日本に吹き込むのでしょう。↓下は平成11年東京に木枯らし1号が吹いた日の天気図。赤が日本、左がH(高気圧)右がL(低気圧)です。

出典:気象庁
日本に吹いてくる理由
高気圧Hは時計回りに風を吹かせます。そこでシベリアの高気圧から時計回りに日本に向かって冷たい風が吹いてきます。
太平洋側に木枯らしが吹く理由
・・・シベリアからの北西の風は日本海を渡ります。
ここで水分をたっぷり含んで日本海側に時雨や雪をふらせ、山を越えて乾燥したからっ風として太平洋側に吹き抜けます。

これが冬の季節風ですね。
終わりに
春一番を楽しみに待つ私たち。木枯らし1号も各地の気象台で発表してくれるといいのに、残念ですね。
木枯らしは太平洋側に吹く北よりの季節風。10月後半~11月末までに強い風が吹いたらTVなどの天気予報をチェックしましょう。
きっと吹いています。
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