中秋の名月ですね(十五夜ともいいます)。
今日は、お団子や食べ物、ススキなどで、かんたんな祭壇を用意して、お供えをしませんか。
お供えのお下がりは、後でみんなで、お月さまのパワーごと、おいしくいただきましょう。
ここでは、中秋の名月の食べ物とその意味、お供え、お月見のやり方(作法)についてご紹介します。
中秋の名月の「食べ物」
月を楽しみ、月に祈り、秋の収穫を感謝する中秋の名月。
十五夜ともよばれるこの夜は、空気が澄んでうつくしい満月を見ることができます。
この日に食べる月見料理は
・秋の野菜・果物
・月見酒
など。
これらはみんな、お供えにすることもできます。
1)月見団子
月見団子の由来
稲作の伝来からずっと、米を大切にしてきた日本。平安時代よりも前から、人々は、お酒や食べ物(神饌:しんせん)を、神さまにお供えしてきました。
団子は、この神饌一つ、「しとぎ」という餅が、丸い形になったものといわれています。
・・・もともと神さまに供えるものだったんですね。
庶民が、お団子をお供えして月見をするようになったのは、江戸時代半ばになってからだとされます。
うさぎが餅をつく?
中国、インド、ミャンマーなど、アジアでは、「月にうさぎがいる」といい伝えられてきました。
うさぎが杵(きね)を持って、お餅をついているように見えますよね。(何となく^^)
中国では、うさぎたちは不老不死の薬を作っている、とされていたそうです。
月見団子の形
:まんまる
月見団子は、地域によって意味と形が違います。
江戸型:まんまる
東京や、特に昔からの月見団子の形がなかったり、東京から広まった地域では、お月さまに見立てた、まんまるいお団子が定番です。
団子の重ね方にはルールがあります。
:15個で3段重ね
子どもたちと一緒に手作りするのもいいですね。
するするすべったり、くっついたり、結構たいへん。楽しめますよ。
![](https://hanasjoho.com/wp-content/uploads/2016/07/5c940342be97f5c47e1ba271f02c2806-160x160.jpg)
ほかに、その年の月の数だけ団子を飾るという風習もあります。
:12か13
現代では、1年の月の数は12。でも旧暦では、3年に1回ほど閏月(うるうづき)があるんです。その年には1年が13ヶ月になります。
それで年によって12個飾ったり、13個飾ったりします。
*現代の、2月が29日ある(1日多い)閏年とは違います。たとえば2023年は13カ月。2月が2回あります。旧暦カレンダーで確認できます。
月見団子の形
:サトイモ型
さて、もともと農民にとっては、里芋の収穫のお祝いでもあったお月見。十五夜を芋名月とよぶこともあります。
名古屋、関西では里芋に似せたお団子を供えます。
名古屋:サトイモ型
かわいいですね。
団子にお砂糖が入っていて、あんは入っていません。
関西:サトイモ(きぬかつぎ)型
関西の月見団子は、丸いお団子を重ねるのではなく、サトイモをかたどった「衣かつぎ(きぬかつぎ)」型です。
関西(~北陸、山陽)は、おもちを餡でくるんだ、あんころ餅の本拠地(?)。*伊勢の「赤福」、召し上がりましたか?
↓きぬかつぎ:あんこの部分を、衣(きぬ)、里芋の皮にみたてます。
また、サトイモ型に、こしあんを腹巻のように巻いた月見団子も、関西で広く売られています。
↓両端に白い団子が見えます。
2)月見酒
盃(さかずき)に映る月をぐいっと飲み干す月見酒。
これは、平安時代から。貴族たちは、池の水や盃に月を映して愛でました。
家の中にいては月は盃には映ってくれませんが、ベランダに出たり、お庭があればトライしてみてください。
3)秋の野菜・果物
お月見は、月をめでる風習と秋の収穫を祝う風習が一緒になったもの。
里芋、かぼちゃ、なす、さつまいも、柿など秋の野菜や果物を、お供えして食べます。
(1)生の果物
秋は果物がいっぱい。お好きなものをどうぞ。
後で、お団子といっしょにシロップにつけたら、甘いフルーツポンチになります。
(2)野菜の煮物、シチュー、芋煮
秋の野菜で、料理をつくって、お供えしましょう。かぼちゃや里芋、きのこにごぼう、サツマイモ…などなど。
てんぷら、シチュー、ポタージュなど何でもOKです。
みんなで集まれたら、芋煮もいいですね。
(3)クリやきのこで:炊き込みご飯
栗ごはんや、ぎんなん、きのこ、さつまいもで、炊き込みご飯もいいですね。
(4)茶碗蒸し
きのこや、ぎんなんの茶碗蒸し。栄養もあっておいしくて食べやすいですね。
電子レンジでちゃちゃっと作ってしまいましょう。
材料は、卵2個に白だし大さじ2杯、水300㏄。
器に入れて、上がふんわりするようにラップをかけて200wで7分くらいです。600wなら2分強+1分ほど置く、など様子を見て時間を延ばしたりしてください。
卵液をこし器でこすのは、忙しい平日には無理ですね。そのまま箸でかき混ぜるだけでも大丈夫ですよ(底に白身が少し固まってしまったりはします^^)。
(5)月見うどん、そば
卵の黄身がお月さまに似ているので「月見」と呼ばれるうどん、そば。
ふだんのハンバーグやカレーに、目玉焼きや半分に切ったゆで卵をのせても。
ちょっと手抜きですが、これでお月さまを「いただきます!」
中秋の名月の「お供え」
お供えは、神さまに、食べ物(神饌)をさしあげるもの。
お供えされた食べ物には、神さまの霊力が宿ります。
そのお供え(お下がり)を食べると、人間も神さまの霊力、パワーをいただくことができるとされています。
ご祈祷を受けると、帰りに、お下がりの神饌(お供え物)をいただきますね。
…削りガツオのパックや、おせんべいなどが入っています。
お月さまにも団子やお酒などをお供えして、お月さまのパワーが込められたお下がりをいただきましょう。
1)祭壇を作ろう
名月のお月見には、祭壇をつくりましょう。
月にふさわしく、落ち着いた簡素で控えめな壇がいいですね。
・月を眺める窓の近くに
満月は、夕方、東から昇ります。
・テーブルに白い布をかぶせたり、お盆を置きます
月が見えない部屋なら、壁やカーテンに丸い白い紙をはって月に見立て、部屋を暗くしてランプやキャンドルをつけましょう。
ろうそくの明かりは、より自然に近くて、日常とは違う雰囲気をつくり出してくれます。
2)お供えするもの
中秋の名月の食べもののほかに、ススキや秋の草花を供えます。
祭壇に飾るお供え物
・お団子
・酒
・秋の野菜、果物
・秋の七草、ススキや秋の花
お団子は三方かお皿に
お団子は三方(さんぼう)か皿に、半紙を敷いて供えます。
三方は、神饌をのせる台です↓*仏教では三宝と書きます。
この上に敷き紙を敷いたり、半紙を斜めに折って置き、団子をのせます。
団子はくっつくので、紙の上に白玉粉をまいたりラップを敷くのを忘れずに。
✔子どもには、お団子の盗み食いをさせてあげましょう!
![](https://hanasjoho.com/wp-content/themes/cocoon-master/images/no-image-160.png)
野菜は生が基本
神さまには、生のものを丸ごとお供えする(サツマイモとか)ことが一般的です。
神社の祭壇には生の米、野菜や果物、ときには鯛が置いてありますね。
野菜や果物をそれぞれ3種類か5種類ずつ、いろどりよく、かごや鉢にのせましょう。台の大きさに合わせて、果物だけでも構いません。
また、伝統的に調理したものをお供えする神社も、伊勢神宮などたくさんあります。
お月さまにも、煮た野菜を差し上げても大丈夫です。
秋の七草、ススキや秋の花も
お月見の日には、ススキや秋の花がスーパーでも売られています。
ススキは、神さまの依り代(よりしろ:神さまが依って宿るもの)とされていますし、秋の七草のひとつでもあります。
お月見にはぜひ飾りたいですね。でも、手に入らなかったら、ほかの秋らしい花や草を飾りましょう。
秋の七草は、
原っぱや道端で手に入るのは、ススキやハギ、くず。
![](https://hanasjoho.com/wp-content/uploads/2018/07/1626265-160x160.jpg)
七草ではありませんが、道端の猫じゃらしとメヒシバを飾っても、やさしい秋になります。
↓猫じゃらし
↓メヒシバ
3)お供えの並べ方
基本の並べ方
・すすき:お月さまに向かって右側。(お月さまから見ると左側。)
・お団子:真ん中
・野菜:月に向かって左側
・・・お団子はお米のかわり。お供えでは一番大事なものです。
テーブルや台が小さければ、お団子を奥に置き、残りを手前に並べます。
また「お月さまから見て左に自然のものを置く」という考え方が基本ですが、絶対ではありません。
下の写真では、お団子が月に向かって右側、果物がまん中、すすきが左側にかざってありますね。
お月見は,もともと月を愛でて夜遊びするもの。
テーブルや台の大きさに合わせて、きれいで収穫の喜びが感じられるように自由に飾りましょう。
お月見の作法
中秋の名月のお月見に決まった作法はありません。
でも神道にならって、少していねいなやり方にすると、なんだか心が静まりますよ。
以下のやり方をご参考に、ご家庭でアレンジしてお楽しみください。
1祭壇の準備
・祭壇をつくる
・お供え物を並べる
・・・お月さまへのお供えなので、祭壇を整えるのは、日が暮れるころからなら、いつでも大丈夫です。
お月見の直前でも構いません。
*月は、東京で夕方5時半ころには出ています。
2お月さまにお祈り
日が沈んでから
・家族みんなそろったら、手を清めて(洗って)祭壇の前に座りましょう。
↓
・月に2回おじぎをして柏手を2回打って、感謝や願い事をしましょう。
↓
・また1回おじぎをしてお終いです。
3お下がりをいただく
お供え物は
・お祈りが終わったら、団子などは下げて、みんなで食べましょう。
・寝る前には、祭壇も片付けてしまいます。
お供えしたものには、月の神さまの霊力が宿っています。
一人で、また家族や仲間とお下がり(お供え物)を食べて、お月さまのパワーをいただきましょう。
祭壇は、寝る前に片付けましょう。
終わりに
中秋の名月(十五夜)は、「月を楽しみ」「月に祈り」「収穫を祝う」おまつりです。
お月見の食べ物は、月の神さまの食べ物でもあります。月見団子に月見酒、秋の収穫を供えて、月のパワーをいただきましょう。
楽しいお月見になりますように。