中秋の名月になりました。
いつもスーパーやコンビニのお団子の販売で名月に気づくのですが、日にちが決まっていませんね。
「中秋の名月」ってどんな意味でどんな由来があるんでしょう。なぜお月見するのかな。十五夜とはどう違うの?
ここでは、中秋の名月について
・意味
・由来
・十五夜、十三夜、芋名月、栗名月との違い
・風習:月見、お月見泥棒
についてご紹介します。
1中秋の名月とは、意味
中秋の名月とは
:旧暦8月15日の月
:十五夜のこと
1)「中秋」は、旧暦8月
旧暦の秋の真ん中の日が、中秋です。
中秋(ちゅうしゅう)とは
旧暦の秋の中日(ちゅうにち)
=秋の真ん中の日
旧暦の「秋」は7月・8月・9月。
・・・この「真ん中」は8月。8月の「真ん中」は15日。
そこで、8月15日が中秋になり、その夜の月が中秋の月になります。
*「仲秋」は旧暦8月全体をさすんですよ。旧暦では、7月が初秋、8月が仲秋、9月が晩秋です。
2)旧暦では、いつも満月
旧暦の日づけは、月の満ち欠けを基準にしています。1カ月は29日間。
・・・新月(月がまったく見えない)が1日、満月は15日目、細~い三日月が明け方に見えるのが29日目。次の日は、また月が全く見えない新月、1日です。
旧暦だと、15日はいつも満月です。
:9月29日(金)
ぴったり15日目の夜が満月という年は、実はなかなかありません。完全な満月になる瞬間は、翌朝になることが多いです。
たいていの十五夜では、月はほんのちょっと欠けてるんですね。
でも私たちの目には、15日夜の月は、きれいな満月に見えます。
2中秋の名月(お月見)の由来
中秋の名月のお月見には、その由来から
・「月を楽しむ」
・「月に祈る」
・「秋の収穫を祝う」
といった意味があります。時代を追って、由来をみてみましょう。
1)中秋の名月(十五夜)の由来
古代ギリシャ神話の月の女神など、古くから、月は神秘的なもの、信仰の対象とされていました。
日本でも縄文時代から、満月をめでる風習はあったとされます。
中秋の名月として、月を鑑賞するようになったのは、中国で唐(618年~)の時代ころから。
宋の時代(960年~)になると、庶民から上流階級まで月見の宴を楽しんでいました。
平安時代には日本にも伝わって、貴族たちが、和歌をよみ雅楽をかなで、お酒を飲んで、盛大にお月見をするようになりました。
貴族のお月見は、月を直接見るというより、盃に映る月影や、船に乗って川面にうつる月の影を楽しむという雅びなものでした。
でも室町時代には、お月見には、月を拝み、お供えをしてお祈りするという宗教的な要素が加わってきます。
この時代は、南北朝の争いや、ききんで一揆が起こったり、応仁の乱へと続く死と隣り合わせの生活。
お月見も、簡素で月に祈る行事に変わっていきました。
*月の神さまは日本神話では月読命(つくよみ)です。月読は「夜の国」と「食べ物」をつかさどります。
江戸時代に入ると国は安定し、お月見は一般庶民にも広がります。
日本では、もともと8月15日(十五夜の日)には、里芋の収穫を祝って里芋を食べる慣習がありました。
そこで十五夜には、芋を煮て夜遊びを楽しむようになったんです。(今もお月見のお祭りや屋台では、芋煮が出ることがありますね。)
江戸時代半ば頃から、十五夜には文机を祭壇にしてお団子を供えるようになり、今に続いています。
秋の収穫を祝って、月を楽しみ、月に祈る…
中秋の名月のお月見は、子どもたちにも大切に伝えていきたい和の行事ですね。
2)秋が選ばれたわけ:「名月」に好条件
季節的にも、中秋の名月のころには、空気が乾燥。清く澄みわたった月を楽しめる、お月見にぴったりの条件になります。
ー秋は空が澄んでいる
春は、黄砂が飛んだり「春がすみ」で、空がぼやっとしています。
夏は、湿度が高い太平洋高気圧が、日本をおおいます。水分(水蒸気)は光をさえぎるので、遠くが見えにくくなります。
でも、秋になると、大陸の高気圧が力を増して、空気は冷たくカラッと乾燥。夜空の月が、くっきり見えるようになります。
各地の月の出の時間は、国立天文台の暦計算室「各地のこよみ」でチェックできます。
3十五夜・十三夜、芋名月・栗名月の違い
「中秋の名月」「十五夜」「十三夜」、「芋名月」に「栗名月」。
どう違うんでしょう?
1)中秋の名月、十五夜、芋名月
=十五夜
=芋名月
中秋の名月は、十五夜と同じでしたね。
ほかにも、この時期に収穫した里芋をそなえることから「芋名月」と呼ぶこともあります。
2)十三夜、栗名月
十五夜は満月ですが、十三夜には、まだ月は少し欠けています。
この欠けたところが、日本の美意識ではよい、美しいとされてきました。…お茶の器でも、欠けたもの、ゆがみのあるものが名品とされますね。
![](https://hanasjoho.com/wp-content/uploads/2018/07/Tea_bowl_10970841913.jpg)
KimonBerlin [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons
=栗名月
十三夜は、旧暦の9月13日。例年10月で、ちょうど、栗の実がおいしくなって、地面に落ちてくる時期。
栗の実を供えてお月見するので、栗名月といいます。
*20223年は、10月27日(金)にあたります。
お月見の風習
中秋の名月(十五夜)の風習といえば、お月見。でも、お月見するのは、中秋の名月のときだけではありませんね。
また、地域によっては、子どものための特別なお月見の風習があります。
1)お月見ですること
中秋の名月(十五夜)には、
:秋の果物や野菜、草花をお供えします。
:団子を食べたり、月見酒を飲んでお月見します。
:祭壇をつくります。
・簡単「月見団子」のつくり方と重ね方!おいしい白玉団子を作るコツ
2)お月見は2回できる
:中秋の名月(十五夜)と十三夜
・・・もともと中国では、お月見は、中秋の名月(十五夜)の1回だけ。
でも日本では、十三夜の欠けた月も風流とされ、中秋の名月(十五夜)と十三夜の2回、お月見するのがよいとされました。
*平安時代には貴族が、十五夜と十三夜にお月見していました。
*江戸時代には吉原の遊女たちが、十三夜にも客に通ってもらえるように「片月見」は縁起が悪いとして、2回のお月見をする風習があったそうです。wikipedia
3)子どものための「お月見泥棒」!
「お月見泥棒」って楽しそうな名前ですね。
これは、縁側にお供えしてある月見団子を、地域の子どもが盗み食いしてよい、という風習です。
お供えしたものを食べるのは、「神さまの力をいただく」ことですから、子どもには良いこと。
また子どもは、お月さまの使いと考えられていたようです。
そこで、たくさん盗み食いされる家ほど縁起がよい、とされていました。
子どもたちに教えてあげたら、きっと大喜びですね!
・・・呼び方はいろいろですが、名古屋市北区、名東区など愛知県の一部から近県、また長崎、東北などに残っています。
また同じような風習が、十五夜、十三夜、十日夜などに同じような風習が全国的にあったようです。
お団子をたくさん作れるほど裕福な農家が、お祭りにみんなに施しをするといった意味もあったのかもしれませんね。
現代では、月見団子を盗むのではなく、「お月見ください」といって家々を回って、お菓子をもらうといった形でお月見泥棒の風習が残っています。
ハロウィンみたいです。
終わりに
私たちの大昔の祖先にとっても、月は満ち欠けする神秘的な存在でした。
中秋の名月(十五夜)は、子どもたちにもお月見の意味や由来を話してあげて、いっしょに自然を感じるとてもいい機会ですね。
おうちの中で、お月見泥棒もさせてあげて^^よいお月見になりますように。