2020年の冬(2019年12月~2020年2月)は、
・東・西日本で、記録的な暖冬
・北・東日本日本海側で、記録的な少雪
となりました。
2019年の平均気温は、
日本は、観測史上1位の高温
世界は、観測史上2位の高温
でした。
2021年の冬(2020年12月~2021年2月)の寒さはこちら↓

ここでは、2019年12月~2020年2月の
・暖冬の理由
・各月の気温
について、ご紹介します。
2019~2020暖冬の現象
1)初雪など、季節現象から
2)梅の開花など、生物季節観測から
3)雪の少なさから
1)初雪など、季節現象から
この冬、初霜はあまり遅れなかったのですが、初氷、初雪は平年並みか平年より遅いところが多くなりました。
観測史上、もっとも遅れているところもあります。
初霜
初氷
初雪
東京・横浜は、ほぼ平年並みの初雪でした。名古屋・福岡は、観測史上、最遅でした。
名古屋は、初雪がもっとも遅かった1901年(明治34年)の1月21日を過ぎて、最遅記録を更新。
2月10日に、ようやく初雪を観測しました。平年より52日遅れでした。
福岡は、平年より2カ月以上、遅れました。1891年(明治24年)の統計開始以降、最遅でした。
いつも、東京・大阪・名古屋にさきがけて、12月には降るのに、今年は、ほんとうに待ち遠しかったですね。
「春一番」吹き始める!
「春一番」の観測は、立春から春分の日まで。急に気温が上がって、強い南風(秒速おおむね8m以上)が吹くと春一番です。
春一番の条件は、地域によって違います。
今年は、四国で2月12日、関東と九州北部で22日に吹きました。

2)うめの開花など、生物季節観測から
たんぽぽ
・横浜 12/9(平年は1月22日)
・福岡 1/21( 〃 3月3日)
・名古屋 2/4( 〃 2月23日)
うめ
・名古屋 1/14(平年より19日早い)
・福岡 1/20( 〃 13日早い)
・東京 1/27( 〃 1日遅い)
・大阪 2/2( 〃 8日早い)
今年のうめの満開は早く、近畿から東海にかけて、梅の名所では平年より2週間ほど早く見頃をむかえました。
2月下旬には散り始めています。
さくら
・那覇(ひかんざくら)1/6
ソメイヨシノ
・東京 3/14(平年より12日早い)
・名古屋3/22・大阪3/23
・鹿児島 4/1(平年より6日遅い)
暖冬で、南は開花が遅れた
実は、東京と鹿児島の平年の開花日は、同じ 3/26です。
2020年に、東京が観測史上最早の3/14になり、鹿児島の開花が4/1と遅れたのは、暖冬のため。
桜が開花するためには、寒さで休眠打破することがポイント。
今年は暖冬でしたが、寒気は何度も南下しました。
・・・東京では、十分な寒さがあった後、暖かい日が続いて桜が開花。
・・・鹿児島は、寒気の南下が弱く、休眠打破が遅れて、桜の開花も遅れました。
3)雪の少なさから
全国的に、雪は「かなり少なく」、「北・東日本日本海側で記録的な少雪」となっています。
「記録的な」とは、冬の降雪量統計開始の1961/62年冬以来、最も少なかったという意味です。
この冬の降雪の深さ合計(12~2月)
札幌で、平年の約73%。新潟の降雪量は、4㎝。目を疑うほどの少なさです。*新潟地方気象台敷地内(新潟市中央区)の降雪量。
札幌 334㎝(平年456㎝)
新潟 4㎝(平年195㎝)
雪不足は、スキーなど冬のスポーツ産業だけでなく、夏の稲作にも影響します。
イネの植え付けや、夏に穂が出る時期に、田んぼの水が不足すると、コメの作量が少なくなる可能性もでてきます。
この冬、暖冬の理由
気象庁の「冬(12~2月)の天候」によると、東・西日本が記録的な暖冬となったのは、
冬型の気圧配置が続かず、全国的に寒気の流入が弱かったため
です。
冬型の気圧配置が続かなくて、高温になったのは、
・偏西風が北に蛇行
といった現象からでした。ー気象庁寒候期予報(2019/9/25)
暖冬の理由
1)偏西風が北に蛇行
日本の上空には、いつも西から「偏西風」が吹いています。冬には時速300㎞を超え、「ジェット気流」とも呼ばれます。
この冬は、偏西風が、平年より北に蛇行。北の寒気が南下しにくくなりました。
➡2020年の偏西風。点線が平年。
➡寒気。
暖冬の理由
2)全球的に高温
2019年、
:世界は、観測史上2番目の高温
世界気象機関(WMO)によると、2019年の世界の平均気温は、観測史上2番目に高くなりました。
2010~2019年の10年間の平均気温は、過去最高でした。
この10年間平均気温は、1980年代以降、過去最高を更新し続けています。
WMOの事務局長は、このままだと「今世紀末までに、産業革命前より3℃から5℃上昇することになる」としています。
*産業革命前の気温は、1850年から1900年までの平均です。
2019年
:日本は、観測史上最高
日本の平均気温は、1898年(明治31年)の統計開始以降、最高になりました。
2019年は、
気温の高い状態が続き、年平均気温は全国的にかなり高くなりました。
日本では、1898年(明治31年)以降、平均気温が「100年あたりおよそ1.2℃の割合」で上昇しています。ー気象庁日本の気候の変化
産業革命後3℃の上昇なら、これから今世紀末までに1.8℃くらい、5℃の上昇なら3.8℃くらい気温が上がることになります。
→もし、最大で3.8℃上がったら?
東京(年平均15.4℃)
:ほぼ屋久島(19.4℃)並みに。
名古屋(年平均15.8℃)
:種子島(19.6℃)並みに。
大阪(年平均16.9℃)
:20.5℃になって、沖縄と鹿児島の間あたり?*那覇市(23.1℃)
暖冬:各月の気温など
冬の平均気温
冬12~2月の平均気温は、ほぼ全国が平年より高くなりました。
九州から東北の中南部までは、平年より1.5℃以上高くなっています。(茶色部分)
東・西日本で記録的な暖冬
「記録的な」とは、冬の平均気温観測開始の1946/47年冬以来、最高という意味です。
この冬の平均気温(12~2月)
(平年の6.1℃より1.9℃高い)
(平年の5.5℃より2.3℃高い)
(平年の6.9℃より1.8℃高い)
(平年の7.6℃より2.2℃高い)
12月
気象庁の「12月の天候」によると、
気温が東・西日本でかなり高く、沖縄・奄美で高くなりました。
東日本太平洋側と西日本の 日照時間は かなり少なくなりました。日本海側の降雪量は 記録的に少なくなりました。
1月は3月の気温、菜種梅雨?
1月は、3月のような暖かさ
1月の平均気温は、東日本で平年より2.7℃、西日本で2.8℃高くなりました。
・・・東京で2.7℃高いと、平年で3月10日ごろの平均気温になります。
左から11月、12月、1月。ずっと高温の赤。↓
1月の平均気温
関東甲信:平年より2.6℃高い
東海:平年より2.8℃高い
近畿:平年より3.0℃高い
九州北部・山口地方は、統計開始以降で最高の平均気温になりました。*人吉をのぞくすべての観測所で、最高でした。
くもりや雨で、菜種梅雨?
1月、2月は、1年で一番雨が少ない月です。
今年1月の降水量は、関東甲信では平年の1.93倍、九州北部では1.98倍でした。
日照時間は、関東甲信で平年の84%、東海で85%、近畿で84%。
3月の菜種梅雨が、早めにやってきたような、くもりや雨がちの日が多く、快晴が少ない1月でした。
2月も高温
気象庁の「2月の天候」によると、
気温は、全国的に高く、東日本でかなり高くなりました
まとめ
2019年の平均気温は、観測史上最高の高さ。12月から2020年2月までの冬は、記録的な暖冬となりました。
3月~5月は、平均すると「平年より高温」、6月~8月は「平年並みか平年より高い」予想がでています。