ここでは、2023の春一番について
・春一番とは:意味とメカニズム
・気象庁、各気象台の定義・条件
・春一番が吹いた時期、よく吹く地域
についてご紹介します。
春一番とは
1)春一番の由来
春一番の名付け親は、長崎県壱岐市の漁師達とされています。
江戸末期の1859年3月17日、強い南風で漁船が転覆、53人が亡くなりました。
この前後から、強い南風を「春一番」「春一」と呼ぶようになったとのことです。
2)春一番の意味・条件
気象庁による、一般的な気象用語は次のとおりです。
-1「立春」から「春分」までの間
2022年の期間
立春から
2月4日0時から
春分の前日いっぱい
3月20日の24時まで
-2広い範囲で
(地方予報区くらい)~関東、北陸といった地方ごとに発表されます。
-3初めて吹く、暖かく(やや)強い 南寄りの風
-風の速さ
「やや強い風」は、関東など風速 8m/sの地方が多いです。
風速8m/sとは
10分間を平均した風の速さです。「秒速8m前後の風が10分間吹き続けていて、平均したら毎秒8mだったよ!」
時速にすると28.8km以上です。
ー風の温度と方向
大陸から吹く北風ではなく、暖かい南から吹いてくる風のことですね。
前日より気温が上がること、平年より高温になることなど、地域によって条件が違います。
実際の、各地の定義・条件
たとえば、日頃から強い風が吹きやすい地域は、風速の基準がより高く設定されるなど…。
各地の定義・条件
観測しない地域
~日本海側に低気圧が発生しても、警戒が必要なほど強い風が吹かない
~甲府(気象台がある所)は盆地で強い風にならないため
~春一番のような暖かい強い風が吹いても、まだまだ冬の気候が続くため
3)春一番のメカニズム
「春一番」は、初めて春型の気圧配置になって吹く南風です。
春型の気圧配置って、あまり耳にしませんが、天気予報では3月になると「移動性の高気圧と低気圧が、交互に日本にやって来ます」という表現がよく使われますね。
この高気圧と低気圧が交互にやってきて、晴れたりくもったり雨になったりをくりかえすのが春の気圧配置、春の天気の特徴です。
春が近づくと、西高東低の冬の気圧配置が崩れて、日本海に低気圧が発生。
その低気圧に向かって、太平洋側にある温暖な太平洋高気圧から暖かい風が吹き込みます。
この最初の南からの暖かい風が、春一番です。
✔春一番が吹いたら注意!
・翌日は寒い。冬型の気圧配置に逆戻りします。暖かくして下さいね。
・スギ花粉が大量に飛びます。家にいるときはぴったりと窓を閉め切りましょう。
・これ以降、強い風がよく吹きます。風で転倒したり、ドアに手をはさまれたり、春は風の事故が多い季節でもあります。
*東京消防庁によると、風の事故の半分は2・3・4月に発生。
春一番がよく吹く時期・地域
1)よく吹くのはいつ?
2月が多い
2001年から2018年までは、近畿をのぞき、2月中によく吹きました。
近畿は、2月と3月がほぼ半々です。
北陸では
:2月 12回
:3月 5回
吹かなかった 1回
関東は
:2月 10回
:3月 6回
吹かなかった 2回
東海は
:2月 6回
:3月 3回
吹かなかった 9回
近畿は
:2月 5回
:3月 4回
吹かなかった 9回
中国は
:2月 9回
:3月 4回
吹かなかった 5回
四国は
:2月 8回
:3月 4回
吹かなかった 6回
九州北部は
:2月 8回
:3月 4回
吹かなかった 6回
九州南部は
:2月 7回
:3月 3回
吹かなかった 8回
過去の春一番が吹いた日は気象庁のサイトで。
バレンタインデーも多い
18年間で5回、日本のどこかで、バレンタインデー前後に吹いています。*ほかに16日に吹いた年もあります。
高い確率ですね。
暖冬はバレンタイン頃?
2007年、2009年、2016年は暖冬。2月13日・14日に春一番が全国いっせいに激しく吹き荒れました。
・・・2017年も暖冬。2月16日~23日の間に吹いています。
2018年は、寒冬でしたが、北陸・中国・九州北部ではバレンタインデーに吹きました。
最近の春一番
2019 | 2018 | 2017 | |
関東 | 3/9 | 3/1 | 2/17 |
北陸 | 2/14 | 2/14 | 2/17 |
東海 | なし | 2/18 | 2/20 |
近畿 | なし | 3/1 | 2/20 |
中国 | 3/21 | 2/14 | 2/22 |
四国 | 2/19 | 2/28 | 2/17 |
九州 北部 | 2/19 | 2/14 | 2/16 |
九州 南部 | 3/21 | 3/5 | 2/17 |
2022年の春一番
北陸
2)よく吹く地域
春一番は、地域によって吹いたり吹かなかったりします。
北陸と関東はほぼ毎年吹きます。
ただ毎年どこかに吹くので、全国的に吹かなかったことは一度もありません。
2001年から2018年までに吹いた確率は、
1春一番が一番よく吹くのは、北陸94%・関東89%です。
2中国・四国・九州北部。確率66%ほど。
3吹いたり吹かなかったり確率50%前後なのが、東海・近畿・九州南部。
まとめ
「春一番」は、気象庁の定義では、
・「立春」から「春分」までの間に
・広い範囲(地方予報区くらい)で初めて吹く
・暖かく(やや)強い南寄りの風
実際には、各気象台の地域に合った条件で、認定されます。
冬が去り、春になっていく兆しの大風。雨が降ることも多く、「春の嵐」になります。
風の事故に、お気をつけください。