雨の多い日本には、6月7月の梅雨のほかに、8月9月の秋雨など、いくつかの「梅雨」があります。
「菜種梅雨(なたねづゆ)」は春の梅雨。この時期には、梅雨のようにくもったり、雨がしとしと降ったりやんだりします。
でも、毎年そうなるわけではありません。そして、広い範囲ながらも地域限定です。
ここでは
・菜種梅雨の意味と期間
・菜種梅雨のある地域と雨量
・日本の5つの梅雨
についてご紹介します。
菜種梅雨の意味
1意味と時期
菜種梅雨(なたねづゆ)とは
・3月~4月
・くもりや雨の日が多く梅雨のような天気が
・数日間続くこと
雨の量は、梅雨どきほど多くはなく、勢いもあまりありません。
梅雨のようにずっとぐずつくわけではなく、期間は数日(4日~6日くらい)です。
*例外:1985年は3月中ずっと菜種梅雨が続いたこともあります。毎日、ちょっとだけでも雨が降りました。
2名前の由来
菜種(菜の花)の咲く季節に当たるため、菜種梅雨と呼ばれるようになりました。
菜種梅雨の頃に降る雨を春雨(はるさめ)と呼ぶこともあります。
・・・しとしと降る細い雨なので、食べる「春雨」の由来になりました。
また、菜種梅雨は催花雨(さいかう)と呼ばれることもあります。
・・・春の花がこの頃からどんどん咲いてくるので、開花を催す(もよおす)雨と言う意味で使われます。
*「催す」には「誘い出す、ひきおこす」という意味もあります。
3菜種梅雨になる原因
春は移動性高気圧と低気圧が交互にやってくる季節。高気圧におおわれると日本は晴れ、低気圧だと雨やくもりになりますね。
この高気圧が、日本の北の方を通ると、高気圧の南や西の端では雲(前線)ができやすくなります。
日本の南には低気圧、北日本から上には高気圧で、前線が停滞。くもりや雨が続くのが菜種梅雨です。
高気圧におおわれた北日本は晴れますが、前線が停滞する東日本や西日本、特に太平洋側はくもりや雨になってしまいます。
菜種梅雨の地域と雨量
1菜種梅雨は地域限定
菜種梅雨は、東・西日本の太平洋側によく見られ、東北・北海道にはありません。
移動性高気圧が日本の北を通る時に菜種梅雨になるなので、北日本は移動性高気圧のもと、晴れています。
↓春の雲:わたぐも
2地域別の雨量(平年)
でも、太平洋側では、平年で3月の雨の量は2月のおよそ2倍。
冬は空気が冷たく乾燥していますが、春になると暖かいけど雨、という日が多くなります。
3過去ワーストの菜種梅雨は?
1985年がワースト
菜種梅雨は数日程度のものですが、たまに1か月以上続くこともあります。
このりっぱな菜種梅雨があったのは1985年。
東京は3月に5日間しか晴れの日はありませんでした。快晴は0日で、ほかは全部くもりか雨。「暗い3月」と呼ばれました。
この年は東・西日本の太平洋側はどこも同じような天気。
雨は激しく降ったわけではありません。また降り続けたわけでもありません。ただ、毎日、多かれ少なかれ雨が降り、ほぼ毎日、傘をさしました。
さいわいこのような菜種梅雨はその後なく、もっとふつうに短期間のものが多いです。
日本の5回の梅雨
日本は雨の多い国。年間で、カナダの3倍以上の雨が降ります。世界各国の降水量等:国土交通省
日本の梅雨は年5回
・菜種梅雨:3月~4月
・走り梅雨:5月下旬
・梅雨:6月~7月
・秋雨(あきさめ):8月~10月
・さざんか梅雨:11月下旬~12月上旬
雨が降らないのは1月と2月だけです。
このほかに、8~9月には台風が襲来。日本は、いつも雨が降りがちなんですね。
菜種梅雨も、ふつうは1週間も続くことはありません。雨もひどくはなりません。
晴れ間をみつけて、春をお楽しみください。