毎年、春になるとやって来る黄砂。遠くがぼーっとかすむと、黄砂の到来です。
でも最近は、黄砂と一緒にPM2.5も飛来。
黄砂のアレルギーへの影響も指摘され、「春がすみだ~」と春の情緒にひたってもいられなくなりました。
ここでは、
1 黄砂の意味(原因・動き)
2 PM2.5との関係、健康への害
3黄砂、PM2.5の時期と2023年の情報
と対策などをご紹介します。
1黄砂の意味
黄砂って何?
黄砂は、中央アジアのゴビ砂漠、タクラマカン砂漠、モンゴルの黄土高原などの砂や土。
日本では小さな小さな土(泥)の粒子になっています。なんと赤血球より小さいくらい!
*ゴビ砂漠:中国からモンゴル
*タクラマカン砂漠:中国のウイグル自治区がある辺り
↓ゴビ砂漠
どうして日本までやって来るの?
砂嵐の強い風で巻き上げられて、偏西風にのってやって来る。
黄砂は世界を回っている
黄砂は、日本から太平洋を越えて、北アメリカまで届くこともあります。
↓2001年7/7
By NASA [Public domain], via Wikimedia Commons
日本で黄砂が多いところ
西日本と日本海側に多いです。福岡、大阪などがよくニュースになりますね。
でも東京や太平洋側でも降ります。
2黄砂とPM2.5
黄砂の害とPM2.5の害
黄砂:土ならあまり害はない?
黄砂そのものは、日本に来る時は、量が少なく、小さいものが飛んでくるので、空気がもやがかかったように霞んで車や洗濯物に土が積もる程度。
車のフロントガラスを傷つけたり、ビニールハウスを暗くしたりの害はあるのですが、大昔から黄砂は降っていて、日本ではそうひどい害はなかったようです。
春霞(はるがすみ)や朧月(おぼろづき)の原因の一つになって、春の風物でもありました。
問題は大気汚染:PM2.5
今、問題なのは、PM2.5と呼ばれるごく小さな大気汚染物質が中国から飛んで来ること。
春には、黄砂と一緒にやって来ます。
黄砂が飛んで来ると、PM2.5への警戒も必要になります。健康に、より害を及ぼす可能性があるのはPM2.5です。
健康への害:黄砂とPM2.5
黄砂の害
1)気管支や肺に影響します。
・・・日本では、喘息の発作がひどくなるという研究があります。
2)黄砂がアレルゲンになることはありませんが、黄砂の主な成分二酸化ケイ素が鼻などで炎症を誘発。
これに花粉がまじると、花粉症などのアレルギー症状は悪化します。
花粉症の方は、花粉情報と黄砂情報も要チェック!ですね。
*黄砂で脳梗塞が増加したという研究もありますが、PM2.5などの影響もあったかもしれないと考える人もいます。
PM2.5の害
1)特に呼吸器系に害があり、目のかゆみや鼻水を起こしたり、花粉症、喘息などのアレルギーの症状を悪化させます。
2)スギ花粉の千分の一の大きさ、とすごく小さい!
気管支から肺、血液、細胞にもとりこまれて、心臓・血管などの循環器系にも影響が出るとされています。
心筋梗塞や肺がんとの関係も指摘されています。
*春と秋がピークです。
3黄砂・PM2.5の時期と2022情報
1)黄砂の時期
いつからいつまで
7・8・9月に観測されたことは、ありません。
それ以外はいつでも降る可能性はありますが、中心となるのはアジアの砂漠で砂嵐がよく起きる時期、2月から5月です。
*6月には、過去10年で4回黄砂が降っています。
ピークはいつ!
4月(平年で6.2日間)。続いて3月(平年で4.4日間)、5月(平年で2.7日間)。
降らない月は?
現在の観測地点11か所では、1967年以降、7・8・9月は0.0日間。黄砂は観測されていません。
毎日降るの?
ー平年の日数
黄砂が降る日数は平年で、
4月に6.7日(9.0日)
5月に2.5日(4.1日)
年間で、合計17.2日(24.2日)です。
*()内の緑色の日数は、観測地点削減以前のもの。地方気象台で目視が行われていたときのものです。観測場所が多かったので日数も多くなっています。
観測地点の減少
2020年2月に地方気象台での目視が終了したあと、観測地点が11地点に削減され、観測日数は遡って修正されました。地方気象台も観測していた過去には、40日を超える年もありました。
現在の観測地点
:札幌、仙台、東京、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、鹿児島、那覇
ー2010年までは、多かった
2001年から2010年までは、平均して22.8日。最高は2001年の38日間です。
2011年から昨年2020年までの直近の10年では、平均8.2日間と少なくなっています。
—–
2010年:33日間
—–
2015年:12日間
2016年:9日間
2017年:3日間
2018年:7日間
2019年:8日間
2020年:5日間
2021年:16日間
2022年:8日間
2023年は、たくさん降る?
2021年は、1月に3日間、3月に6日間、4月に2日間、5月に5日間観測され、計16日間となりました。2010年の33日間以来(多いですね!)の飛来日数でした。
昨年2022年は、3月に5日、4月に1日、12月に2日観測され、計8日と前年の半分になりました。
・気象庁黄砂観測日数表
今年2023年は、3月24日に新潟で初めて観測されました。
2023年 観測された日数
1月 なし
2月 なし
3月 1日
4月 6日
5月 2日
6月 未発表(なし)
黄砂が多いのは、5月まで。6月に黄砂が来ることは、少ないです。
秋になって、10月ころから黄砂が来る年もありますが、ピークは春。
平年で7・8・9月の飛来はありません。
今年2023年は、7月6日、中国と九州北部で黄砂が「非常に多い」と予想されています。
その他の地域も全国的に黄砂が「多い」「やや多い」予想です。
…首都圏が多いのは7月7日、東海・近畿は7月6・7日です。
*PM2.5の飛来が多くなっています。
2)PM2.5の時期
黄砂は、ゴビ砂漠などの春先の砂嵐が原因。季節ものです。
でもPM2.5は大気汚染物質など人工的なもの。偏西風にのって大陸からやってくるもので季節を問いません。
ただ、黄砂と同じく冬から春にかけて量が多くなっています。
PM2.5情報 2023
PM2.5は、2023年、首都圏で7月5日、9・10・11日に「非常に多い」、東海・近畿は7月6・7日に「非常に多い」と予想されています。
「多い」は日本の環境基準値程度ですが、「非常に多い」は注意喚起レベルとされています。
自治体から「PM2.5注意喚起情報」がでたら、外に出る時間をできるだけ少なくしたり、窓を閉めて外気をあまり入れないようにするなどしましょう。
・・・SPRINTARSは、九州大学応用力学研究所気候変動科学分野が中心となって開発されたエアロゾルモデルです。
SPRINTARSのサイトでは、PM2.5の予測動画も見ることができます。
✔黄砂、PM2.5の対策
花粉症などアレルギーのある方には、黄砂もPM2.5もよくありません。
など、3~5月は特にご注意ください。
まとめ
黄砂は、中国からくる春の風物詩。(とはいえ、夏以外は、いつでも可能性があります。)
PM2.5も一緒にやって来るので、喘息や花粉症などのアレルギーのある方は特に注意が必要です。
日本も高度経済成長期には光化学スモッグが問題になり、健康被害がでました。いろいろ対策を重ねて、今はきれいな空になっています。
中国も大気汚染対策に力を入れ始め、かなり良くなってきたようです。PM2.5には早く消えてほしいですね。