『こねこのタケシ』南極探検隊メンバー、なごみ担当

ねこと人の、幸せと別れを書いた本です。

本の内容

『こねこのタケシ』は、南極第一次越冬隊に参加した、一匹のねこの絵本です。

極寒の南極で1年を過ごす南極越冬隊。

南極の冬の最高気温(7月平均)は-33℃。最低気温は-62.8℃です。1956年といえば、戦後10年ほど。大変なチャレンジでした。

 

そこで、縁起が良くて、船の守り神であるとされるオスの三毛猫が、参加することになりました。

これがタケシです。

タケシは三毛猫オス

猫の毛をオレンジ色にする遺伝子は、X染色体の中にあります。

X染色体は、基本的にメスにしかないなので、オスの三毛猫はめったに生まれません。

そこで、珍しい三毛猫のオスは昔から大切にされ、を呼ぶとか、船に乗せると遭難しない船の守り神などとされました。

 

 

一緒に行った犬たちは、そりを引いたり役に立ちますが、タケシは猫。

隊員をなごませる、癒し担当でした。

隊員たちの号令で「気を付け!」をしたり、クリスマスにはお菓子のブーツに詰められたり^^

おすすめ

『こねこのタケシ』は、小さい子に読み聞かせする絵本(とってもリズミカル)ですが、大人の猫好きには、絵本の後の部分がおすすめです。

作者の「あとがき」、タケシと仲良しだった探検隊員の方の「思い出すままに」というエッセイ、最後のページの追記…そして探検隊と猫の写真。

昔のふつうの猫らしい、ちょっとごつごつして、ぽってりしたタケシ。タケシや探検隊のみなさんの写真がたくさんあります。

 

タケシは、日本に帰ったあと、1週間ほどでいなくなりました。帰巣本能がある猫。タケシは、南極に帰ろうとしたのかもしれません。

タケシと仲良しだった隊員の方は、

「タケシ」の魂は、昭和基地にいっているはずですから、ぼくも命が終えるときは「タケシ」に会えますよ。

と言います。*昭和基地:南極観測の基地。越冬隊はここで過ごした。

 

南極が見つからなくて、仲良しの隊員さんの家もわからなくなって、タケシはどう生きたんでしょう。

でも、野良猫としてたくましく生きたかな。どこかで飼い猫になったかも?

必ず来る猫との別れ…涙です。

 

「精一杯の、けなげな”ねこ”を生きた」タケシ。世界中で、一匹だけ南極に行った猫の本です。

こねこのタケシ―南極大ぼうけん (すずのねえほん)

図書館にも置いてあります。どうぞ、ごらんになってみてください。

*現在では、南極の本来の環境を守るため、動物を連れていくことは禁じられています。