『鯖猫長屋ふしぎ草紙』ーいばりん坊の三毛ねこの本ー登場人物とあらすじ紹介

「猫が出てきて、おもしろい本ないかな。推理ものとか、妖しとかもいいかも。」という方へ。

『鯖猫長屋ふしぎ草紙』の登場人物とあらすじを、感想を交えてご紹介します。

主人公のサバは、威張りん坊の三毛猫。オスです。特技は、幽霊退治。幽霊や妖が見えて、諭したり鎮めたり。

妹分の子猫のさくらもかわいくて、猫好きにはたまりません。

登場人物

『鯖猫長屋ふしぎ草紙」は、三毛猫サバがいちばん重要なキャラクター。でも、動物のお話ではありません。

もう一人の主人公が、飼い主の拾楽(しゅうらく)。

拾楽や周りの人たちに起る事件なぞを解決していく、推理サスペンスもの(っぽい)です。人情ベースで、思わず笑いだしてしまう掛け合いもちらほら^^。

 

登場人物

長屋のみんなに、やり手の差配さん。読本作家に憑いているかわいい幽霊など、常連さんがいっぱいですが、ここでは、メインの3人をご紹介します。

1)サバ:悪霊退散ねこ

サバは、かしこいオスの三毛猫。背中の模様が、灰色と黒の縞柄(魚のさばのような青っぽい縞)なので、サバと名付けられています。

祭りに出かけようとした夫婦を外に出させず、命を救ったことから、長屋のみんなに敬愛され「大将」と呼ばれています。

長屋のみんなには甘えたりしますが、飼い主の拾楽に対しては、威張りん坊。あごで使っています。

早くよこせ

毎日、朝夕にご飯を炊いて、上等の鰹節ごはんを作る拾楽に、ごはんを催促。

(猫はみんな威張りん坊かも?うちの猫さんも、ベランダに出したまま忘れて戸を閉めると「ぶにゃ~」と怒りながら、開けるよう催促します。)

ただ、サバは性格も男前。頼りになる、幽霊や妖に強い猫です。子猫のさくらには、忍耐強くてやさしい親代わりです。

 

2)拾楽:訳ありの飼い主

拾楽は、売れない絵描き。猫ばかり描いていますが、それには、わけがあって…。

「お豆腐顔」といわれる草食系。実は10年前までは、腕利きの泥棒でした。

今は、猫たちと和む毎日ですが、この過去のせいで、いろんな厄介ごとを引き寄せたり、この能力ゆえに事件を解決できたり。

 

3)成田屋の旦那

本名は掛井十四郎。同心、今でいう警察官です。

優秀な同心ですが、ふるまいが、歌舞伎の成田屋のように芝居がかっているせいか「成田屋の旦那」と呼ばれています。*成田屋は市川團十郎。超男前ですよね。

すごくかっこいいのに、武道はからきしだめ。腕や刀が必要な場面からは、すばやく退場します。

体の弱い奥さんを大切にして、情の深いところもあります。

大の猫好きですが、サバには、冷たくあしらわれがち。

でも、この場面では、サバと掛井の利害が一致。サバは、掛井(成田屋の旦那)の懐に抱かれています。..

掛井「さあ、どうする、猫屋。この懐の中身を忘れたかい。間違ぇなく長屋へ戻るってぇ約束しねぇと、サバ公がどうなるかー」

絶妙の間合いで、なーあおん、とサバが世にも哀し気な鳴き声を上げた。

・・・ 拾楽「だから、こんな時ばっかり、なれ合うなって言ってるだろう、この、裏切猫(うらぎりもの)っ

ー『鯖猫長屋ふしぎ草紙(二)』p332,333 PHP文芸文庫

掛井と拾楽の掛け合いは、この本の魅力の一つ。ときどき本当におかしくて、吹き出してしまいます。

 

あらすじ

舞台は、上野不忍池近くの根津権現のそば。しばらく前まで、死んだ人が夢枕に立ったり、家鳴りがしていた、訳あり長屋です。

拾楽と猫のサバが住み着いてから、怪異はなくなりました。

でも、気のいい住人や、家移りしてきた住人や拾楽の前職からの、トラブルが続いて…。

*途中の巻から読んでも、大丈夫。必要なときは、過去の概要が書いてあります。
1巻『鯖猫長屋ふしぎ草紙』

親のかたきを探す美人が、引っ越してきました。美人は、拾楽と関わりがあるらしいのですが。幽霊連れの人気作家も越してきて…。

2巻『鯖猫長屋ふしぎ草紙(二)』

気さくでやさしい問屋の主が、長屋の持ち主に。拾楽に因縁がありそうです。町には、もと泥棒、拾楽の偽物が登場して…。*新入り猫さくらが、かわいく登場。

3巻『鯖猫長屋ふしぎ草紙(三)』

拾楽を好きな、長屋のおはまちゃん。気立てがいいゆえに、とんでもない奴に目をつけられて…。

4巻『鯖猫長屋ふしぎ草紙(四)』

化け猫の疑いをかけられた、子猫のさくら。妖術を使う狐が登場。牢に入れられたサバとさくらは…。

*実は特別な能力^^を持つ、成田屋の旦那。

5巻『鯖猫長屋ふしぎ草紙(五)』

掛井の恩師(ご隠居)がかわいがる少年、太市が狙われている。声で人をたぶらかす女盗賊が絡んでいるらしい…。女は、おはまちゃんに何か言ったようです。*おはまちゃんも、たぶらかされる?次の巻が気になって気になって…。

6巻『鯖猫長屋ふしぎ草紙(六)』

また家鳴りが始まった長屋。サバは差配さんの家に家出して…。掛井(成田屋の旦那)の手下、目明しの平八は窮地に陥っています。

7巻『鯖猫長屋ふしぎ草紙(七)』

幽霊憑きの人気作家、豊山が、長屋にもどってきました。作家を陥れようとするのは誰?最後に豊山を救うのは、幽霊の山吹でした…。

*幽霊の山吹が、とってもいいです。見る人によって、姿が変わったようです。豊山には、美しく見えました。

8巻『鯖猫長屋ふしぎ草紙(八)』

ご隠居のかわいい太市が、拉致された。空には、不気味な白いカラスが。ところが、サバはすっかりぼんくらに…。

 

各巻の中にいくつかのエピソードが含まれます。また、シリーズ全体を通して、おはまちゃんと拾楽の遅々とした接近も描かれます。

 

新刊(第9巻)はいつ?
:2020年9月発売予定

3月と9月、年に2冊のペースで出版されています。

楽しみですね!

ただ、3カ月おきに1冊の本を出されているので、作者の健康が心配です。無理せず、サバの本を優先して^^お仕事なさってください。

 

作者はどんな人?

作者は、田牧大和(たまきやまと)さん。

お名前から、男性かと思っていたのですが、東京出身の女性です。

でも、主人公が男性だからか、あまり女を感じさせないというか。多分、男女を問わず楽しめる作風です。

 

2007年に『色には出でじ、風に牽牛』(『花合せ』に改題)で第2回小説現代長編新人賞を受賞。その後、38冊を超える本を出されています。

『花合せ』のシリーズのほかに、和菓子屋、錠前屋、からくりのシリーズなど。其角と一蝶のシリーズもあります。

鯖猫長屋シリーズが、最長。一番人気です。

多分、猫を飼っていらっしゃるのでは? サバやさくらの描写が細やかで、「そうそう、その通り!」って感じです。

 

まとめ

猫好きのための、人情ベース+推理サスペンス(っぽい)『鯖猫長屋ふしぎ草紙』。

かしこい長屋の守り神、サバと、ますますかわいくなる、妹分のさくら。すねに傷をもつ絵描きの拾楽に、頭が切れて腕はキレない同心、成田屋の旦那。

情があってまっすぐな長屋の住人たち。

けなげで勇敢な、かしこい犬たちも、毎回、大事な役回りで登場します。「猫もいいけど、やっぱり好き」という人も楽しめると思います。(猫嫌いの方には向きません^^)

2020年3月末で、8巻まで出ています。全部買うと、なかなかの金額。図書館なら、ほぼ必ず置いてあります。

読んで楽しくなって、さらに読みたくなる本です。どうぞ、お楽しみください。