『独学で歴史家になる方法』初めにやること/やれること

礫川全次『独学で歴史家になる方法』(日本実業出版社、2018年)。「独学」の部分に心惹かれて読んでみました。

著者は、30歳を超えるころから、在野で、歴史や民俗学の研究を始めた方です。2020年現在で、71歳くらい。著書がたくさんあります。

初めは、あるいは定年までずっと、仕事をしながらの調査・研究だったと思われます。

 

初めにやる/やれること

・ブログを研究日誌にする
・碑文を書写してみる

『独学で歴史家になる方法』

1「知の消費者」から「知の創造者」へ

『独学で歴史家になる方法』でいちばんワクワクしたのは、「知の消費者」から「知の創造者」になる、というところでした。

・歴史愛好家は、情報の「受け手」。本を楽しみ、史跡訪問を楽しむ消費者。

・歴史研究者は、研究のために文献にあたり、史跡を訪問する創造者。

消費するだけではなく、生産者になるって、心浮きたちます。

「知の創造」はできませんが、情報の生産者(編集者?ブログに記事を書く?)なら目指せるかも?

う~ん、たぶん、消費した情報の整理くらいなら…。

2歴史独学のすすめ

「何よりも自分のために」

著者は、歴史を独学するのは、何よりも自分のためだといいます。

歴史を独学するわけ

・小さな「リスペクト」がほしい
・学問に「リベンジ」しよう
・「お返し」という発想に学ぶ

ー第1講目次から

 

仕事がつまらなく感じるとき、リタイアして何か物足りないとき、私たちは「小さなリスペクト(尊敬)」がほしいのかもしれません。

それも、人から受ける前に、まず自分が自分に対して持ちたいものではないでしょうか。

何でもない自分ではなく、何かをしている自分。主体的に動いていると、自尊心が持てる気がします。

本には、ボランティアの尾畠春夫さんの例があげられています。

尾畠さんは、生き方に筋が通っていて、うらやましいです。

あんなふうに生きられたらいいのですが。

 

歴史の独学をおすすめするわけ

・歴史の研究に知識・技術は要らない
・テーマは身のまわりに転がっている
・独学者でも学問に貢献できる

ー第2講目次から

 

3研究の進め方・研究をカタチにする

実際の研究の仕方については、難しく、飛ばし読みしました。すぐにとりかかれそうなのは、「ブログ開設」と「碑文の筆写」です。

1)ブログは研究日誌

著者がブログを進めるのは、文章修行になり、また研究日誌、データファイルとして使えるから。

・その日に読んだ本や仕入れた情報、感じたことなどを書き留め、研究日誌にする。

・過去に調べたことなど、記事の中から簡単に呼び出せるので、データファイルとして使える。

ブログで、個人的な文章を書くのは、怖いことでもあります。

でも、何かしら書かねばということで、怠けがちな背中を押してくれそうです。

押されたくない気もしますが…。

2)初心者は「碑文」の筆写

著者は、本や資料を読んでいて、引用された史料があるときには、原典にあたることをすすめています。

原典を読めるようになっていくための、研究初心者向けの課題が「碑文の筆写」です。

筆写してみて、読めない字の意味を調べる。この繰り返しで、読める力をつけていく。

古文書は、異体字も崩し字も多く、また毛筆の字はつながっています。

その資料を活字にした文献、さらにはその意味を現代語に訳した文献を見ながら、内容の見当をつけていくといった、長く遠い道のりが待っているに違いありません。

本では、初めて取り組む例として、日本橋小伝馬町にある吉田松陰の「辞世」を写真付きで紹介しています。

あまり難しくなくて、読みやすかったですよ!