「歯根端切除術」体験しました。痛み、費用とその後の経過

歯茎からうみが出る歯根嚢胞(のうほう)。

歯医者さんで歯の根の治療を何回かやって治り、数年ごとにそれをくりかえしました。

なかなか治らないので、ついに歯根単切除術を受けることに。

 

ここでは、手術の体験や痛み、かかった費用、予後などをブログの記事にしてご報告します。

1かかった費用

手術したところ:口腔外科のある、地域の総合病院

健康保険の適用:あり。筆者は3割負担でした。

 

通院治療(根の治療)

1回目 7,010円(自己負担2100円)
2回目 1,530円(自己負担460円)
3回目 4,810円(自己負担1440円)

 

通院(手術
:33,860円(自己負担10160円)

33860円のうち手術費は17,500円。

*歯根端切除術の保険点数は、日本歯科医師会の「社会保険歯科診療報酬点数早見表(2)」で。診療費用は「保険点数×10円」です。

*より新しい年度の情報は「20〇〇」と西暦を加えて検索なさってください。

 

術後の投薬
:鎮痛剤ほか 530円

個人営業の歯科では、痛み止めは新薬が出ました。総合病院でもらった処方箋では同じ薬のジェネリック薬が出されて、費用は安かったです。

 

通院(抜糸
:770円(自己負担230円)

抜糸は特別な保険点数の対象にならないようです。770円は再診料でした。

その後、3回通院でした。
・通院(歯型をとる)自己負担330円
・通院(歯の土台を作る)
・通院(歯を入れる)

最後の3回通院をのぞいて

総計 14,920

 

健康保険の適用だったので、日によっては交通費の方が高いこともありました。

予想したよりずっと安かったです。

 

2手術の体験

1)手術まで

(1)症状

悪かった場所

:前歯の真ん中から右2番目あたり。数年ごとに数回根の治療をしていました。

症状

:ひどく痛かったということはありません。

ただ、2年ほど前に治療してくれた歯医者さんが、ちゃんとは治らないかったのですが、とりあえず終了。歯ぐきの上の方のもやもや感は残っていました。

しばらくして「表情筋を鍛えて若々しく」という記事を見て、すっかりその気になって舌で歯ぐきをぐるぐるマッサージしたところ、前歯の上に横幅1cmくらいの大きなうみの袋ができてびっくり。

でも、歯医者さんの、もうこれ以上はだめやろ感を思い出し、あきらめ気分でそっとしていたら、うみが出てしまったようで治りました。

 

その後、いつのまにかフィステルといううみの出口ができ、そのまま残りました。

最後の治療から2年ほどたっても、前歯の上、鼻の付け根当たりがかゆくなることがあり、炎症が残っていることが自分でもわかりました。

このまま放置したら、全身の健康にとってもよくない気がして、別の歯科を受診しました。

 

(2)口腔外科へ紹介

新しい歯医者さんも、歯の根の治療については今一つあきらめ気味。ほかの虫歯の治療計画をたてられました。

数回通って、あらためて鼻の横のかゆみを訴えると、「すでにしっかりと治療して埋めてあるので、手術をしたほうがいい」とのことで、地域の総合病院を紹介されました。

 

歯の根の治療(根管治療)は、保険点数が低いです。

治療そのものはギシギシと時間と労力がかかるのに、費用はとっても安くて、嬉しくも申し訳ない気がしたことはありませんか?

もしかしたら、それだけに、個人営業の歯医者さんは根管治療にはあまり乗り気ではないのかもしれません。

 

(3)まず根の治療を初めから

総合病院を紹介されましたが、すぐ手術とはいきませんでした。

口腔外科の先生は「まず根管治療をやるべきだ」との考えで、根の治療を始めることになったんです。

筆者も、手術しないですむなら有難いです!

1回目は、1時間ほどかけてレントゲンをとったり、ギシギシしたり。個人営業の歯医者さんで根管治療に1回1時間もかけられることはありません。ちょっと感動しました。

給料をもらって働く歯医者さんは、経営を考える必要はなくて患者にとってはいいものですね。

 

さて、三回の治療が終わって、うまくいかなかったので手術をすることになりました。

手術は通院で。入院治療する方もいらっしゃるので、症状としては重いものではなかったようです。

旅行の予定があったので、それが終わってからの手術としました。

 

2)手術

(1)イヤホンでビデオを聴きながら!

待合室で、スマホでイヤホンをつけビデオを観ていたら、看護師さんから「手術中も音楽聴いてていいですよ。(手術の)音が聞こえなくていいかも。」といわれました。

びっくりしましたが、ドクターにも勧められ、安心してアマゾンプライムで「シン・ゴジラ」を聴くことに。

*シン・ゴジラのビデオは10回ほど観ていたので、音声だけで状況がわかります。当時、アマゾン・プライムビデオで無料の対象でした。

「ガチガチ音がすごかった」などの手記を読んで手術におびえていたところでしたが、気を晴らすことができますよね。とても嬉しかったです。

みなさんが手術を受けられるときも、もし不安でしたら、看護師さんやお医者さんに「音楽を聴いてもいいか」たずねてみられてください。

 

(2)手術の流れ

手術の場所は、いつもの診察台。別室に入るようなことはありませんでした。

15:00 麻酔

麻酔を数か所に注射。数分してまた数か所麻酔注射。

15:10 手術開始

痛みなし。歯ぐき切除の感覚なし。トンカチ?でどんどんと歯の根をたたかれる!がりがり音がする。

 

前半は、シン・ゴジラのおかげで手術に集中せずにすみました。

が、30分ほどして麻酔が切れかかり、少し痛みを感じたため、ドクターに手でサインを送ったとき、スマホをさわり、ビデオが停止してしまいました!ビデオは画面で操作しますが、顔にはカバーがかかっていてスマホを見ることはできません。

 

以後は、手術音声に集中してしまいました。

歯茎を縫うのは時間がかかり、気持ちがいいものではありませんでした。ビデオが聴けなかったことが悔やまれます。

痛みについては、ちょっと痛いだけですぐに麻酔してもらえたので、ほぼまったく感じませんでした。

16:20 終了

レントゲンをとって手術終了しました。

 

麻酔を終えて手術が始まってから、全部で1時間10分かかりました。

それまで、特に怖さを意識してはいなかったのですが、終わってから足がガタガタ震えました。ほんとうは怖かったんですね。

 

看護師さんから術後の注意事項の説明を受け、最後に、顔が内出血を起こさないようにと、大きなばんそうこうをほおからほおにかけてべったりとはられ、マスクをもらってかけました。*ばんそうこうは12時間くらい貼っておきます。

16:40 痛み止めの点滴

ドクターに点滴の希望を聞かれたので、痛みの恐怖におびえていた筆者は「ぜひ」とお願いしました。10分ほど。

 

(3)術後の注意事項

1麻酔が切れるまで食事しない

・・・麻酔が残っているうちにご飯を食べると、思うように口は動かず、口の中を思い切りかんでしまいます。

2運動・入浴・飲酒を控える

・・・決行がよくなると出血したり痛みがひどくなることがあるため。シャワーはOK。

3喫煙しない

・・・末梢神経が収縮して血行不良になり、傷が治りにくくなる。

4冷やさない

顔が腫れたり、傷が痛くても冷やさないようにとのことでした。これはびっくり。冷やしたという体験記事も多かったので、帰りにアイスノンを買おうと考えていたのですが。

・・・冷やすと治癒が遅れて、痛みが長く続くことがあるためだそうです。痛みには、沈痛剤を飲むようにとのことでした。

5薬を指示通りに服用

・・・鎮痛剤は早めに服用。効くまでに1時間以上かかることもある。

 

3)術後の痛み

(1)麻酔が切れるまで

点滴も受けて、痛みなく帰宅できましたが、帰りの電車では体がカァッと熱くなりました。

18時30分頃(点滴後2時間ほど)、痛み止の薬を飲もうとしたところ、まだ麻酔が残っていて薬をうまく飲み込めませんでした。喉に引っかかった感じのまま、溶けていくのを待ちました。

麻酔がとれて、お粥を食べられたのは点滴後4時間ほどたった、20時20分ころ。

 

(2)痛みの経過

痛み止め(ロキソニンの仲間)が切れかかると、ずきずきする感じの痛みが出ました。ひどくはありません。

鎮痛剤は6日分処方され、ときどき痛かったので最後まで飲みました。

その後は飲まなくても問題ありませんでした。

(3)顔の腫れ、食べ物

ドクターから「ぶわっと腫れる」とおどされていた顔の腫れ。

思ったよりひどくありませんでしたが、2日目は、仕事に出かけるのははばかられると思います。

 

術後1日目(手術翌日)

右の歯でしたから、午後(術後20時間ほど)になって右ほおがすこし腫れた感じになりました。この日の外出は、マスクなしで全然大丈夫でした。

安静にした方がいいですが、痛みがなければ仕事もできそうです。

ただ、夜(術後28時間くらい)からふくらんできます。

・・・食べ物は、おかゆ、パンがゆ、ゼリー、うどんなど。

 

術後2日目

前日夜中(2日目未明)、目を覚ましてふたたび目を閉じようとすると、右目が先に閉じました^^右目まで腫れてきています。

朝には、顔の右半分が腫れ、右目は左目の半分の大きさになっていました。ほおから上の部分、目まではれました。

午後から(術後48時間)腫れは引き始めました。まず、目が大きくなり始めます。

医院のサイトを見ても、2日目がいちばん腫れるようです。外出は、マスクをしても、しない方がいいです。事務などで同じ部署の人としか会わないとしても、お休みしたほうが。

・・・食べ物はヨーグルト、トースト、目玉焼きなどふつうに。

 

術後3日目

腫れは術後1日目の午後程度に引いてきます。右ほおは腫れの重みで?下がったままですが、マスクをすれば人に会うこともできます。

・・・食べ物も、みかんなど酸味のあるものも平気になりました。

 

術後4日目

ほおの重さ(少し下がっている)は、まだ残っています。

口の中の糸を舌でよく感じるようになりました。結び目が表に3つ、裏に3つあります。

切った部分は見えません。もうふさがったのか?歯ブラシもそうっと当ててみました。痛くはありません。

術後5日目

ほおの重さはすこ~し残っていますが、マスクなしで外出できました。

この日まで、痛み止めの薬を飲みました。ときどきズーンとする感じが残ります。

 

4)抜糸

術後11日目に抜糸でした。10日目を提案されましたが、筆者の都合で11日目に。たった1日伸びただけですが、抜糸が痛かったというブログ記事もあり、心配になりました。

抜糸は、バチッバチッと数回切られておしまい。

気持ちよくはありませんが、痛いということもありませんでした。すぐに終わってしまいました。

 

3予後

さて、歯根のう胞は治ったのでしょうか。

術後、鼻の付け根がかゆく感じたりその上の方が痛かったり、鼻筋を押さえると痛い感じがあります。

治ってないかも。抜糸後2週間で、経過観察の予定です。

 

手術は失敗かもしれません。

でも、健康保険の範囲で手術をするには限界があるようです。自由診療としてお金をもらうことなく手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を用意すると、病院の持ち出しで赤字になってしまうそうです。

必要な機器が使えないのに「手術の失敗」とは言ってしまえないような気がします。

 

成功率は、健保か自由診療かで変わる?

歯根端手術の予後について調べてみると、通常の方法では成功率40~50%とのこと。「X線CT画像診断に基づく手術用顕微鏡を用いた歯根単切除手術」長崎大学病院広報誌vol.67

でも、長崎大学病院の広報誌によると、手術用顕微鏡を使った方法だと成功率は80~90%になるということです。

健康保険の適用外になるので、自由診療となり、費用は長崎大学病院で2013年44,000円ほど。

*4~5割の成功率について担当ドクターに聞いたところ、「そんなことない」とのことでした。でも、どのくらいの率かはわかりません^^

 

総合病院で、健康保険と自由診療を組み合わせると少し安くできるようですね。自由診療で民間歯科に行くと、ほかの術式もあるようですが10万~15万円かかるようです。

再発したら、放置するか自由診療で完治させるか、悩ましいところです。

通常の術式で、治る40%に入ればいいのですが。

 

終わりに

歯根のう胞は、ほぼ痛みがないものから、激痛が走るものまでさまざま。筆者は、あまり痛みはなかったのですが、歯科の治療で良くならないまま放置していたので、手術を受けました。のう胞は5~7mmの大きさだったそうです。

健康保険がきく手術は、費用もとても安く、痛みも薬でコントロールされました。でも成功率は4~5割といったところなので、自由診療をとり入れた方がいいかもしれません。

 

2日目は、顔が大きく腫れます。この日に休めるように仕事の計画を立てられるといいですね。

・・・一応手術なので、術後に体力は低下しますし、抗生物質を2日ほど使うため、腸内細菌はダメージを受けます。できるだけ体を休めましょう。

お大事に!

その後の経過 (術後1年ほど)

手術後、4カ月ほどしてから、時々、うずく気がすることがあります。

ちゃんとは治っていないようですね。やはり、初めから、手術用顕微鏡などをつかった手術を受けたほうがいいかもしれません。

・・・今のところ、歯の根元がふくらんだり、うみがでたりはしないので、そのままにしています。

術後3年

やはりうみが出るため、抜歯してブリッジをかけることになりました。

・・・手術をするなら、自由診療で手術用顕微鏡を使ってもらうのが確実ですね。でも、高いですし、ふつうの歯根端切除術で治る方もいらっしゃるし…。

とりあえず、これからブリッジになると、うみも出なくなって安心です。