おめでたい七福神。
福の神が7人もいるんですから、ご利益はプラスにプラス!
ここでは、
・七福神の意味と由来
・それぞれの神さまの名前とご利益
・ご利益のいただき方(呪物、や七福神巡りなど)
についてご紹介します。
七福神とは
七福神の意味
福をもたらす七柱(神さまは柱で数えます)の神さまたちを、七福神と呼びます。
左から、恵比寿・大黒・弁天・毘沙門天・布袋・福禄寿・寿老人。
七福神の由来
七福神のうち、六つの神さまたちは、平安から室町の時代にかけてインド、中国から日本に伝えられてきました。
室町時代後期には、もともとの日本の神さまである恵比寿さんと合わせて、合計七つの神さまが七福神として信仰されるようになりました。
それぞれの神さまにはそれぞれ独自のご利益がありますが、七福の「七」には「たくさんの」という意味があります。
七つそろうことで、さらにたくさんの福徳をいただけるんです。
七福神の名前とご利益
それでは、それぞれの神さまの意味とご利益を見ていきましょう。
神さまたちには、偉い順番があるわけではありません。
が、時代をさかのぼると一番古いのは大黒さま、それから三神、五神、七福神として神さまが加わってきました。
その順番でご紹介します。
名前と読み方、意味(ご利益)
名前とお姿、覚えかた
七福神は、それぞれに特徴のある神さまたちなので、姿と名前を「数え歌」のように覚えると、姿を見ただけで、どの神さまかすぐにわかるようになりますよ。
神さまの名前の下に覚え方を一文で書いています。歌うように読んでみてください。
1恵比寿(えびす)
![](https://hanasjoho.com/wp-content/uploads/2017/10/ebisusama-263x300.jpg)
ご利益
・商売繁盛・除災招福・大漁豊作
七福神はインドや中国の神さまが多いのですが、えびすさんは唯一の日本の神さまです。
イザナギ、イザナミの子である蛭子命(ひるこのみこと)であるとか、または大国主命の子事代主神(ことしろぬしかみ)であるとされています。
初めは海の神さま。それで鯛を持っています。鎌倉時代頃から商売繁盛の福神ともなりました。
2大黒天(だいこくてん)
「袋をかついだ だいこくさん」
ご利益
・五穀豊穣・子孫繁栄・出世開運
インドではマ、ハーカーラという神さま(「大いなる暗黒」という意味です!)。ヒンドゥー教の最高神、シヴァ神の化身の一つです。
平安時代に、最澄が中国から密教とともに日本に持ち帰り、天台宗・真言宗・日蓮宗で特に信仰されました。
日本では、国造りの神さまの大国主命と習合(混同、同一視)して「豊穣の神さま」になっています。
*大黒さまが背負っているふくろは、何でもほしいものが出てくる福袋。手にしているのは、振れば何でも出てくる打ち出の小づちです。
3毘沙門天(びしゃもんてん)
「やりを持ってる びしゃもんてん」
ご利益
・大願成就・降魔厄除・財宝富貴
もともとはインドのクベーラという財宝の神さま。中国に伝わると仏教を守護する四天王の一つ多聞天とされて、武神、守護神となりました。*単独でまつられているとき、毘沙門天と呼ばれます。
日本では平安時代に伝来。
庶民には本来の「富の神」として人気となりました。悪霊退散、知恵と勇気の神さまでもあり、武将からは「勝負の神」として信仰されました。
4弁財天(べんざいてん)
「紅一点の べんてんさん」
ご利益
・諸芸上達・学徳成就・恋愛成就
インドのヒンドゥー教の水の神さまサラスヴァ―ティが、仏教に取り入れられ弁財天になりました。短くして弁天ともいいます。
サラスヴァ―ティは、音楽・学芸・言葉の神さまでもあります。そこで弁天さまは芸事の神さまとされるんですね。
日本では奈良時代から信仰され、財宝神ともなりました。*神道の市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)、仏教の妙音菩薩と同一視されつこともあります。
5布袋尊(ほていそん)
「おなかの大きな ほていおしょう」
ご利益
・千客万来・家運隆盛・家庭円満
中国、唐の時代のお坊さん。実在の人物でした。住まいを定めず、心の真実の大切さなどを説きながらほどこしを受け、それを背中に背負った大きな袋に入れていました。
雪の中に寝ても、布袋和尚の体には雪が積もらなかったなどの言い伝えがあり、死後、弥勒菩薩の化身と考えられるようになりました。
日本には鎌倉時代に禅画として紹介され、大きなおなかや袋、おおらかな笑顔などから福徳、人望、富貴繁栄の神さまとなりました。
*布袋さんの大きな袋は「堪忍袋(かんにんぶくろ)」。人を許したり、我慢したりする度量の大きさをあらわしています。
6福禄寿(ふくろくじゅ)
「頭の長い ふくろくじゅ」
ご利益
・財運招福・長寿延命・招徳人望
中国の道教の神さまです。実子に恵まれるという幸福、財産、健康長寿の三つの徳を表しているとされます。*福星・禄星・寿星の三星を神格化した神さまとしても信仰されています。
日本には、鎌倉・室町時代に中国の神さまの画(絵)として伝来。福、徳、長寿の神さまになりました。
7寿老人(じゅろうじん)
「年をとってる じゅろうじん」
ご利益
・長寿幸福・家庭円満・福徳知恵
中国の伝説では、道教の修行をして、不老不死の仙人(神仙)になったとされています。南極老人星の化身。
日本には鎌倉時代に伝えられ、仙人の姿で、長寿のシンボルである桃、自然との調和のシンボルの牡鹿を従えていることが多いです。
*福禄寿と同じ神さまだとされることもあり、七福神ではほかの神さま(吉祥天)などと入れ替えられることもありました。
ご利益のいただき方
七福神の呪物
七福神にまつわる品物(呪物 じゅぶつ)には、七福神の霊力がやどっています。
お寺や神社で手に入れやすいのは、「宝船」や「福笹」、「福銭」、「打ち出の小づち」。
床の間やリビングに飾ったり、財布につけたりして、幸運を招きましょう。
1)宝船
宝船にはめでたい呪物がたくさん積まれ、七福神が乗っています。
でも、最初の宝船には稲が積まれているだけでした。
七福神がのった宝船の絵が描かれたのは室町時代。*一般に広がったのは江戸時代です。
七福神の多くは渡来の神さまで、唯一の日本古来のえびすさまは海の神さま。
そこで、七福神は宝船に乗ってやってくるという考えが自然に受け入れられたのでしょうね。
また江戸では、お正月の2日に「なかきよの とおのねふりの みなねさめ なみのりふねの おとのよきかな」と書いた宝船の絵を、枕の下に敷いて寝るとよい初夢を見ることができるとされました。
*「永き世の 遠の眠りの みな目ざめ 波乗り船の 音のよきかな」という回文(上から読んでも下から読んでも同じ文)。
2)福笹
十日えびすなどで授けられる福笹には、鯛や大判小判、打ち出の小づちなどが結ばれています。
家運隆盛・商売繁盛のご利益があります。
3)福銭
福銭は、いろいろな寺社で手に入ります。
ほかのお金を引き寄せてくれるので、大事に持っていてもいいですし、人にあげたり使ったりしてご縁を招き、お金を招くのもよいとされます。
七福神巡り
七福神巡りが広まったのは江戸時代、天明の大飢饉のころです。
飢饉の苦しさから救われたい一心でひろがった七福神参り。世の中が安定すると、行楽もかねて大人気となりました。
当時は、七福神巡りはお正月の松の内(関東1月7日、関西1月15日)にまわるものでした。
今もお正月に巡る方が多いですが、1年中いつ行っても同じようにご利益があります。
ご朱印を集めたりスタンプを集めたり、お気に入りのお守りや置物を手に入れたり。
ハイキングコースになっているところもありますから、思い立ったが吉日でお出かけください。
Q 神さまだけど、お寺に多い七福神?
七福神巡りをすると、なぜか多くは、神社ではなく寺にまつられているので不思議な気がします。
神さまなのになぜ?
それはそれぞれの神さまの由来から。
というわけで、七福神巡りではお寺への参拝が多くなります。
また、明治維新で神仏分離される前は、神仏習合でした。
神社とお寺が同じ境内にあり、神さまと仏さまの中には混同されたり同じものとみなされるものもありました。
私たちにとってはどちらも大切。ときどき頼って助けていただきたいスーパーパワーの源ですね。
終わりに
七福神は、商売繁盛や幸福を求める人々の願いからうまれた民間信仰です。
お正月に限らず、巡ってみましょう。
近くに七福神コースがなかったら、とりあえず置物やてぬぐいなどを部屋に飾ってもいいですね。
福がたくさん訪れますように。