猫好きにはたまらない、9月29日は「招き猫の日」。
猫の日は「にゃんにゃんにゃん」の2月22日ですが、招き猫の日が9月29日なのはなぜ?
招き猫のお寺・神社やイベントはあるのかな。
あったら行ってみたいし、うちにも1匹招きたいですね。
どんな招き猫を選んだらいいのでしょう。右手をあげた猫か左手か?白猫かそれとも黒猫?
ここでは、
・招き猫の日の由来
・招き猫の由来
・イベント、寺・神社
・招き猫の選び方:手の意味、色の意味
についてご紹介します。
1「招き猫の日」とは
1)日にち
9月29日
2)招き猫の日の由来
9月29日だから、2(にく)9(きゅう)日で、ねこの肉球からでは?と思いませんか?
でも、残念ながら肉球は関係ありませんでした。
「9(来る)29(福)」のごろ合わせで、福を招く招き猫の日になったものです。
全国の招き猫愛好家が集まる「日本招猫倶楽部」が1995年に制定しました。
英語で言うとLucky Cat Day。
「招き猫の日」の趣旨は
いつも手を挙げて、私たち人間に福を招いてくれる「招き猫」に一年に一度くらいは感謝する日があってもいいのでは
というものです。
2「招き猫」の由来
招き猫の歴史は、江戸時代に始まります。
猫の恩返しの話から、猫の置物が縁起物(ラッキーグッズ)として大人気になりました。
1)招き猫の歴史
縄文時代の貝塚から猫の骨が出てくるなど、日本での猫の歴史は古いです。
ただ、文書に残っているのは、平安時代の宇多天皇のころからで、ほんの少しだけ。
それでも清少納言の枕草子や紫式部の源氏物語にも登場しています。裕福な貴族にとっては、かわいく面白い愛玩動物だったようです。
江戸時代には、絹糸を生産する養蚕農家や年貢米をおさめる農民にとっては、猫はネズミをとってくれる役に立つ生き物となっていました。
そして、江戸の町などでは、猫はひろく庶民に飼われて、かわいがられるようになりました。
招き猫が大流行するようになったのは18世紀終わりころ。明治維新が間近に迫ったころからです。
今戸焼で、手を上げた招き猫が作られたのが初めでした。
2)手を上げているわけ
招き猫が手を上げているのは、
「猫が前足をあげて顔を洗い、その足が耳をすぎると客が来る」
と書かれた中国、唐の古典『酉陽雑俎』が由来だと考えられています。
3)招き猫の由来、発祥の地
招き猫の由来、発祥の地については、猫寺、花街、商売などいくつかの説があり定まっていません。
「猫の恩返し」のお話で有名なのは、次の3つです。
1猫寺:豪徳寺
猫の恩返しや猫のたたりなど、猫に縁の深い寺を「猫寺」と呼びます。
猫の恩返しでは京都市上京区の称念寺や東京の豪徳寺、たたりを鎮めた寺では熊本県球磨郡の生善院が有名です。
*猫はお寺とのかかわりが多く、猫寺に対して猫神社というものはないようです。
それでは、招き猫元祖として最も有名な、豪徳寺の猫のおはなしを見てみましょう。
豪徳寺(東京)
豪徳寺の観音様の眷属はネコ。*眷属は神仏の御使い。お稲荷さんの眷属はキツネです。
招猫殿というお堂には招福観世音菩薩がまつられ、その眷属である招福猫児(まねぎねこ)がおそばに控えています。
豪徳寺「招き猫」の由来
17世紀初め、江戸世田谷の豪徳寺は貧乏寺でした。
ある日、近江彦根藩主の井伊直孝が鷹狩りに出かけた帰り、豪徳寺の門前を通りかかると、一匹の白猫が右手をあげて、直孝に寺の中に入るようにと手招きします。
直孝が、手招きに応じて境内に入ると、さっきまで直孝がいた門前に激しい雷が落ちたのです。
命拾いした直孝は、豪徳寺を立派に改築し、井伊家の菩提寺としました。
この白猫がタマ。住職はタマに感謝し、タマが死んだあと似姿を張り子でつくって「招福猫児(まねぎねこ)」と名付けて供養をしました。
これが、右手をあげて人を招く、招き猫の由来とされています。
・アクセス 東急電鉄世田谷線「宮の坂駅」下車
↓幸福の招き猫電車
・豪徳寺(世田谷区のサイト) ホームページはありません。
2花街から:西方寺
芸者屋、遊女屋が集まっている地域を花街といいました。
江戸吉原の人気遊女、薄雪太夫(うすゆきたゆう)は大の猫好き。
ある日お手洗いに行こうとすると、猫がまとわりついて来ます。遊女屋の主人は猫が魔性に変化したと思い、猫の首をはねてしまいました。
すると、この猫の首はポーンととんで、トイレにひそんでいた大蛇にかみついたのです。
命を救われた太夫ですが、愛猫を失って嘆き悲しみました。見かねたひいき客が伽羅の木で猫の人形をつくって太夫をなぐさめたのが、招き猫の始まりとされました。
*手を上げていたわけではありません。
太夫は、猫を西方寺に弔い猫塚を立てています。
・西方寺:東京都豊島区西巣鴨4丁目8−42 ホームページはありません。
3商売で:今戸焼の招き猫
日本で存在が確認されている一番古い招き猫は、今戸焼の丸〆猫(まるしめのねこ)という招き猫です。*丸〆はお金や福徳を「丸くせしめる」という意味。
現在も、かわいらしい素朴な招き猫がつくられています。
今戸焼招き猫の由来
19世紀半ば、明治維新の14年ほど前、浅草で暮らしていたおばあさん。
あまりの貧乏に、おばあさんは愛猫も手放すしかありませんでした。
ところが、ある夜、夢の中にその猫が現れ「右手をあげ人を招くようなかっこうのネコの飾り物をつくると福が来る」と告げます。
おばあさんは、今戸焼の窯元でそのとおりの猫の置物をつくってもらい、浅草の観音様(浅草寺)の鳥居近くで売ったところ大人気。すっかりお金持ちになることができました。
これが招き猫の由来とされ、今戸焼の招き猫は江戸で大流行しました。
*実際に遺跡から招き猫が出土していて、日本最古の確実な招き猫とされています。
*かわいい招き猫と縁結びで有名な今戸神社は、この今戸焼の招き猫と直接関係はありません。今戸焼の招き猫は、浅草寺ゆかりになります。
3全国のイベント
9月29日ころ
9月29日を中心に、瀬戸、常滑、伊勢などで招き猫まつりが行われています。
おかげ横丁「来る福招き猫まつり」
もしかしたらこれからかけつけても間に合うのが、三重県伊勢市おかげ横丁の「来る福招き猫まつり」。
例年9月29日の前後2週間ほど、伊勢内宮前のおかげ横丁で開催されます。
自分で招き猫に絵付けしたり、いろんな招き猫をながめたり。9月29日朝9時29分には縁起の良い鈴が929個配られます。
「招き猫まつりin 瀬戸」
焼き物といえば愛知県の瀬戸。とっくりを持った狸が有名ですが、招き猫もたくさんつくられています。
9月29日に近い土・日に尾張瀬戸駅周辺で。招き猫ミュージアムでは招き猫の絵付けができます。
「常滑」招き猫まつり
巨大な招き猫がいくつもある愛知県の常滑市。招き猫通りのあたまだけの常滑見守り猫「とこにゃん」がかわいいです。
常滑焼のヤマタネというお店は、9月中旬ころにイオンなどを会場にして招き猫まつりを開催しています。
ヤマタネのお店の方には、笑福招喜猫神社^^があって、招き猫がいっぱい。
・常滑市
・ヤマタネ
来る福招き猫まつりin「島原」
長崎県島原市で「しまばら水屋敷」という茶房を営むご主人が、日本招き猫協会の協力を得て開催。
全国の招き猫や創作招き猫の展示、猫のおみくじや猫まん(おまんじゅう)など。
九州の方には嬉しいイベントですね。
いつでも!招き猫
豪徳寺の招き猫
お寺なので、特にイベントはありませんが、いつでも招き猫に出会えます。
招き猫発祥の地の一つとされる豪徳寺。
夢見るような、飾りのない素朴でやさしい感じの猫さんです。
・豪徳寺(世田谷区のサイト) ホームページはありません。
「住吉大社」初辰の日
大阪、住吉大社で、月の最初の辰の日(初辰:はったつ)にお参りしていただく招福猫。
かしこげで思慮深い顔をしています。願いの発達をいのる楠珺社の神さまは宇迦魂命でお稲荷さんと同じ。豊作や商売繁盛の神さまです。
左手上げが人招き、右手上げがお金招き。4年かけて48体集めると満願成就になるんですよ。
・住吉大社
東急電鉄「幸福の招き猫電車」
東急世田谷線で招き猫電車が運行しています。つり革まで猫で、思わずにっこり。
世田谷駅から豪徳寺までは850mほど。歩いて10分ほどの距離です。
*福岡市の西鉄貝塚線でも「にゃん電」が運行しています。
その他:招き猫がいる神社
今戸神社
招き猫が迎えてくれる浅草の今戸神社。
今戸焼の招き猫とは直接関連はないのですが、同じ今戸。縁結びの神さまですから、参りがてら招き猫たちに会って来ましょう。
・今戸神社
横浜元町の厳島神社
招き猫はおみくじの中にいます。招き猫おみくじを引くと、小さなかわいい招き猫が中に入っています。
お財布に入れると小判を招いてくれるかな。
4招き猫の選び方
縁起のいい招き猫。招き猫を手に入れて、おうちに福を招きましょう。
初めのころの招き猫は白か白に三毛でしたが、今は色もポーズもさまざま。
手や色の意味を確認して、願い事に応じたご利益のある招き猫を見つけましょう。
1)手の意味
招き猫は、たくさんのバージョンがありますが、一般に右手を上げているか左手を上げているかで意味が違います。
理由や根拠はさだかではありません^^
左手:商売繁盛
左手を上げていると、人を招く、客を招くとされます。
飲食店によくある招き猫はこのタイプ。商売繁盛の縁起物で、右手には金色の小判を持っています。
人(客)がお金を持ってきてくれるんですね。
*西方寺にある、花魁の薄雲太夫を救った猫の像は左手を上げています。
右手:幸運・金運
右手を上げていたら、幸運を招く、お金を招くとされます。
幸運やお金を招いてくれるので、個人や家庭向き。
*豪徳寺の招き猫は右手をあげています。
両手をあげていたら、人もお金も招きます。
でも、デザインによっては「お手上げ」に見えるものもあります…。
2)手の長さ
耳の高さより長い手は、「遠くの福」「大きな福」を招きます。
耳よりぐっと下の方にそっと短く手を上げていると、「近くの福」「ささやかな福」を招くとされます。
3)色でちがうご利益
色の意味は、お寺によって少し違うこともあります。
ここでは一般的な意味をご紹介します。
白、白三毛
昔ながらの白猫や、白に三毛のブチがはいった招き猫。
白は清らか。心を落ち着かせて「福を招く」とされます。
黒
黒は「厄除け」「病を防ぐ」「勝負運」。
金、黄色
金色や黄色は「金運を招く」。
その他:赤やピンク
赤は「健康」を、ピンクは「恋愛のご縁」を招きます。
✔招き猫の手ぬぐい
終わりに
猫は、古代から天皇から庶民にまで愛されて、人と共に暮らしてきました。自由気ままではありますが、飼い主にはなついて、とっても情のある生き物。
小さい時は愛らしく、成長すると面白いので、人が見に寄ってきます。恩返しに福を招いたという招き猫伝説も本当かもしれません。
お気に入りの招き猫を見つけて、おうちに福を招きましょう。