蝉の種類と鳴く順番!ハルゼミから秋のチッチゼミまで

人間界はコロナでも、夏には蝉が鳴き始めます。7月に入ると、せみの抜け殻も目にするようになりますね。

どんな蝉がいつ頃から鳴き出すのでしょうか。

子どもたちが虫好きになる夏。鳴いている時期写真鳴き声から蝉の名前を教えてあげましょう。

 

ここでは、蝉が鳴く順番と、季節ごとのセミの種類・鳴く時期をご紹介します。

蝉の種類と鳴く順番

・鳴く順番

・春から鳴く蝉
・夏に鳴く蝉
・秋まで鳴く蝉

1鳴く順番

鳴く時期は、各地の気象台の「生物季節観測」の平年値を参考にしています。気象庁「生物季節観測の情報」

・・・平年値は、2021年に、1991年~2020年までの平均に変更されました。

最新の平年値では、全国的に気温が上がっています。蝉の初鳴きも、多くの地点で早くなりました。

 

全国的に統一された観測は、終わり

2021年1月から、生物季節観測のうち、動物(あぶらぜみ、うぐいす、もんしろちょう、えんまこおろぎ…)のすべての観測が廃止されました。*植物は桜などが残っています。

廃止の理由は、「対象を見つけることが困難となって」きたから。

気象庁お知らせ「生物季節観測の種目・現象の変更について」

 

セミの初鳴きは、各気象台の構内か付近で、気象台の職員によって観測されてきました。

都市化して、生き物に適した環境ではなくなってしまったのでしょうね。

残念です。

 

News

継続性の観点から、将来的に調査員調査が行われていく可能性もあるようです!気象庁報道発表

 

1)春に鳴く蝉

春の蝉:鳴き始めの時期

3月末~イワサキクサゼミ(沖縄)
5月末~ハルゼミ(本州・四国・九州)
6月末~ヒメハルゼミ(関東~西日本)

 

2)夏に鳴く蝉

夏の蝉
鳴き声ピークの時期(目安)

7月
中旬
ニイニイゼミ
下旬  ↓クマゼミヒグラシ
8月
上旬
アブラゼミ ↓  ミンミンゼミ ↓
中旬  ↓      ↓ ↓ ツクツクボウシ
下旬     
9月
上旬
     
9月中旬以降チッチゼミ

*地域や高度によって違いがあります。

2春から鳴く蝉

イワサキクサゼミ 3月~7月

沖縄地方にだけ生息。さとうきび畑などで鳴きます。

体長1.2cm~1.7cm。指先くらいの大きさで日本一小さい蝉です。

鳴き声と映像はこちらで。

2020年初鳴き
3/12宮古島、4/3石垣島

*2021年1月、動物季節観測廃止。2021年以降の初鳴きの公式発表はありません。

 

ハルゼミ:4月末~6月

By self (Own work) [GFDL or CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

【地域】本州・四国・九州
【場所】松林
【サイズ】2.3cm~3.2cm
【鳴き声】ギー ギー ギー*こちらで
【鳴く時間】昼間明るい時
【特徴】全身が黒褐色。

松林の外に出ることはありません。松林が減少し、多くの自治体で絶滅危惧種になっています。

2020年初鳴き
5/5岡山、5/19高知

*2021年1月、動物季節観測廃止。2021年以降の初鳴きの公式発表はありません。

 

*エゾハルゼミは、九州の霧島山地、伊豆半島の天城山など、高地でも鳴きます。5月下旬ころから。

 

ヒメハルゼミ:6月下旬~8月下旬

ヒメハルゼミ

【地域】関東から西日本
【場所】シイ・カシなどの照葉樹林
【サイズ】2.1cm~2.8cm
【鳴き声】ギーオ ギーオ ギーオ ギーオ ギー*こちらで
【鳴く時間】夕方

「姫」ハルゼミなのは、ハルゼミより小型で色白だからでしょうか。鳴き声がかわいいからではありません。(ぜひ1度聞いてみてください)

3夏に鳴く蝉

以下の「初鳴き」日は平年値です。各地の気象台が観測しています。

ニイニイゼミ:7月上旬~8月

【時期】ピークは7月下旬
【地域】全国
【場所】明るい雑木林など平地
【サイズ】2cm~2.4cm(羽除く)
【鳴き声】チー ジー*こちらで
【鳴く時間】1日中

背中のオレンジ色のWが目印。*地域によって、少しデザインが変わります。

・・・鳴き声は「にー」とも聞こえます。ニイニイの名は鳴き声からではないかと言われています。

 ニイニイゼミの初鳴き(平年)

高知6/24 奈良6/29 広島7/3 神戸 7/7 大阪7/10 仙台7/10 新潟7/10 横浜7/11 名古屋7/12

 

 

ヒグラシ:7月上旬~9月中旬

By Alpsdake (Own work) [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

【地域】全国
【場所】平地~山地。どこでも。
【サイズ】2.1cm~3.8cm(羽除く)
【鳴き声】カナカナカナ*こちらで
【鳴く時間】日の出前、日の入り頃、くもりの日など、薄明るい時

夕暮れ時に鳴くので「日を暮れさせる」ヒグラシの名前がつきました。もう遊んでないで帰らなきゃ、と物悲しくなるきれいな鳴き声です。
「蜩」は秋の季語。

ヒグラシの初鳴き(平年)

高知7/6 奈良7/11 福岡7/13 仙台7/14 広島7/16 横浜7/24 東京7/29 神戸7/29 京都7/29 埼玉(熊谷)8/1

 

 

アブラゼミ:7月上旬~9月上旬

By KENPEI (KENPEI’s photo) [GFDL, CC-BY-SA-3.0 or CC BY-SA 2.1 jp], via Wikimedia Commons

【時期】ピークは8月上・中旬
【地域】全国
【場所】平地、山、都市の公園、果樹園
【サイズ】5.6cm~6.0cm(羽除く)
【鳴き声】ジージージー(ジリジリジリ) ジー*こちらで
【鳴く時間】日が傾く頃から日没後、薄明るい頃まで


特徴、見分け方
:羽が茶色い(すきとおっていない)

ジリジリジリという鳴き声が、油で揚げるような音なので「油蝉」と名付けられました。

アブラゼミの初鳴き(平年)

福岡7/6 広島7/10 名古屋7/12 大阪7/14 埼玉(熊谷)7/17 仙台7/18 新潟7/19 東京7/20 横浜7/22 札幌7/30

 

 

クマゼミ:7月上旬~9月上旬

【時期】ピークは7月下旬~8月上旬
【地域】西日本、東海、関東南部
【場所】平地、低い山、都市の公園、街路樹
【サイズ】6cm~7cm
【鳴き声】ジー シャンシャンシャンシャン ジー*こちらで
【鳴く時間】日の出~正午

クマゼミは日本特産。でも南方系なので、日本海側には生息しません。*横浜でも鳴いたという報告があります。

大阪は、皇居などをかかえる東京に比べると、緑が少なめです。そのため、土が固くなって、アブラゼミの幼虫は住めなくなり、クマゼミがふえました。

今、大阪市夏の蝉の90%以上がクマゼミです。

クマゼミの初鳴き(平年)

高知7/5 大阪7/6 和歌山7/9 奈良7/11

 

 

ミンミンゼミ:7月下旬~9月上旬

By Alpsdake (Own work) [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

【地域】全国
【場所】傾斜のある森や林、都市の公園、街路樹
【サイズ】3.3cm~3.6cm
【鳴き声】ミーンミンミンミンミー*こちらで
【鳴く時間】午前中

黒と緑の美しい模様。北の方ほど、黒い部分が多くなります。

涼しいところを好むので、都市部では東京23区、横浜などに多く、名古屋市、大阪市、福岡市にはあまりいません。・・・九州では山で鳴きます。

ミンミンゼミの初鳴き(平年)

高知7/12 横浜7/20 東京7/21 埼玉(熊谷)7/21 松江7/23 仙台7/26

 

 

ツクツクボウシ:8月上旬~9月中旬

正式な種名は「ツクツクボウシ」です。漢字で書くと「つくつく法師」。気象庁の生物季節観測では「つくつくほうし」とされています。

By KENPEI (KENPEI’s photo) [GFDL, CC-BY-SA-3.0 or CC BY-SA 2.1 jp], via Wikimedia Commons

【地域】全国
【場所】森や林。平地にも山にも。
【サイズ】2.2cm~3cm(羽除く)
【鳴き声】ジー・・ツクツクボーシツクツクボーシ・・ゥイヨーゥイヨー・・ジー*こちらで
【鳴く時間】昼過ぎ~日没後

【鳴き声】バリエーション

・「オーシーツクツク、オーシーツクツク」…ツクツクボーシの切れ目が違う

・最後の方の「ゥイヨー」の部分が、「どーでもいーよー」とか、「もーいーよー」とか、「ココにいや~す、ココにいや~す」とかw

 

ツクツクボウシの初鳴き(平年)

広島7/25 高知8/1 奈良8/4 埼玉(熊谷)8/5 横浜8/6 松江8/9 名古屋8/14 新潟8/19 福島8/16

 

エゾゼミ:7月中旬~9月中旬

【地域】北海道。東北の平地。本州中部以西では500m~1000mの山で。
【場所】薄暗い雑木林
【サイズ】4cm~4.6cm
【鳴く時間】晴れた午前中

目が赤くて黒・黄・赤の鮮やかなセミ。長野県など標高の高い地域でよく見られます。

 

4秋まで鳴く蝉

チッチゼミ:7月末~10月中旬>

【地域】本州・四国・北海道南部
【場所】松林。下にツツジがある里山。
【サイズ】2.5cm~3cm(羽除く)
【鳴き声】チッチッチッチッ
【鳴く時間】1日中

9月以降には、セミではなく、秋の虫の仲間と思われることも。

 

終わりに

蝉は海外でも鳴いています。でも、蝉に季節を感じるのは日本だけのようです。

外国ではセミの声は騒音としか思われないので、日本映画が海外で上映されるとき、蝉の声が入っていたら消してしまうそうです。

残念ですね。お元気でお過ごしください。