小学校に入学して2週間位から始まる家庭訪問。
お母さんも子供もまだ学校に慣れないこの時期早く終わってほしいですね。
それに家まで来るなんて。
何だか家や親をチェックして成績をつけられるような嬉しくない感じがする!
そこで、小学校の先生をしている身内に、家庭訪問の本音を聞いてみました。
ここでは、小学校の家庭訪問の
・話の内容や質問されること
・お茶や玄関先などでの対応
について、先生のねらいをご紹介します。
意外に心配はいらないようですよ。
家庭訪問の目的
一番の目的は、なんと!「その子の家への道順を知ること」だそうです。
1子供の通学路を知る
ー1)何か事が起きた時のために
ー2)通学路周辺の安全チェック
「家庭の雰囲気がわかる」ことについては、みんなよそいき顔になるのであまり期待していないとのこと。
また「経済状況」については、子どもの生活に支障がない限り、ほぼまったく関心はないそうです。
1子供の通学路を知る
子どもの通学路を知るって、この拍子抜けな目的の理由は、
2)通学路周辺の安全チェック
3)連絡網の確認
です。
1)何か起きた時にすぐ家庭訪問できるように
家庭訪問以外で、先生が家または家の近くに来る、ということがあります。
たとえば-1
学校で具合が悪くなった、お友達とけんかしてけがをしたときなど。
・・・先生はすぐに子供を家まで送ったり、また後で家庭を訪問して事情を話したりする必要があります。
たとえばー2
地域で痴漢や子どもの連れ去り事件が起きたりすると、声をかけられただけの未遂でも心配です。
・・・先生が生徒たちを家庭まで送っていくこともあります。
たとえばー3
インフルエンザなどで学級閉鎖になると、健康な子供たちも外出を控え家で生活することになります。
・・・先生が家庭訪問して子供たちに会いに行く学校もあります。
病状をたずねたり、元気で家にいて退屈している子供たちを元気づける(喜ばせる)感じ、だそうです。
このような時、いちいち地図を確認していては間に合いませんね。
先生は転勤がありますから、その地域の地理に詳しいとは限りません。
一度家庭訪問して通路を確認していれば、いざという時に迷わず行くことができます。
これが、入学してたった2週間ほどで家庭訪問を始める一番の理由だそうです。
2)通学路周辺の安全チェック
交通量や、飛び出し事故の起きやすい交差点、繁華街などが、通学路にないかチェックします。
また、暴力団事務所・有名人の家・交番・ゲームセンターなども確認。
・・・暴力団事務所や有名人の家で葬儀などがあると、人が集まりマスコミも来ます。
そんな時は、先生たちが生徒たちを家まで送っていったり、いつもの通学路でなく回り道をさせたりします。
3)連絡網の確認
メールの一斉配信などで、台風での臨時休校など緊急の連絡は、済ませられます。
でも、痴漢や連れ去り事件などが起こると、子供たちの下校には数週間、大人の監視が必要になることがあります。
登下校班ごとに対応するには、先生だけでは手が足りません。
親が交代で下校につきそうことになります。そこで連絡網がないところは作ることになります。
また、保護者の方がすでに作っているところも、家庭訪問で連絡網を頭の中で確認していきます。
2お母さんと「知り合い」になる
入学してまだ懇談会もなく、先生はお母さんたちを知りません。
でも、先生から家庭に連絡すべきことも出て来るでしょうし、お母さんから先生に聞きたいこと、お願いしたいこともあるかもしれません。
そこで、しばらくお話して「知り合いになる」ということも目的の一つです。
何かあったときに、また何もなくても、電話でも連絡帳でも気軽に連絡、相談しあえるように、お互いに知り合っておこうというところです。
3親子・家庭の雰囲気がわかるといいかな
教室を運営していくうえで、子供たちを理解することは一番大切。
先生としては、もちろんどんな親子かな、どんな感じの家族なのかな、にとても関心があります。
でも家庭訪問では、子供もよそ行きのいい子でいますし、お母さんもよそ行き(実は先生も)。
そこで、親子関係、家庭の雰囲気などは、本当にはよくわかりません。
先生としては「まあ、少し雰囲気がわかるといいかな」くらいであまり期待していないそうです。
Q家の経済状況などチェックされる?
先生は、経済状況にはほぼ全く関心がありません。
お金がなくて子供に食事を作れない、とかでなければ、お金持ちでも簡素な家でも、それで家庭を評価することはないようですよ。
先生は、たくさんの家庭を見てきていますから、家の経済状況にはあまり驚かないんですね。それに、人間の価値は平等だと教えている立場で、そう思ってもいるみたいです。
家庭訪問ではどんな話をするの
1)先生からは漠然とした質問が
先生からは、「お家ではどんなふうですか」「どんなことをするのがお好きなんですか」と漠然とした質問が。
そして、出てきた答えから話をふくらませていくようです。
子供の好きな事、おけいこ事などは、その子を理解し、親が子供に望むことも知ることができますから、よく話題になります。
実は先生からは、あまり話すことがありません^^
2)子供の学校での状況はあまり聞けないかも
お子さんの学校での様子について、先生から聞けるのは「頑張ってらっしゃいますよ」といったこと位。
・・・まだ、短すぎて先生は子供たちを把握していません。
今の時期、先生の印象に残るのは、先生の指示を聞けなかったり、他の子とトラブルを起こすなど、良くないことで目立っている子ども。
ほとんどの子供たちは、入学後の緊張で、いい子にして頑張っています。
子供が自由に振るまい始めるのは5月半ば以降。一人ひとりの個性がわかってくるのもその頃ですね。
1学期の懇談会では、いろいろ話が聞けますよ。
3)先生に言っておきたいこと=先生が知りたいこと
いたずらっ子、恥ずかしがりなどお子さんの個性について知っておいてもらいたいことは、先生が知りたいことでもあります。
病気やアレルギーなども、もう1度伝えておきましょう。
そこから広がる話題も先生は大歓迎。
ふつうの人間的な会話になると、お互いに共感したり好感を持ちやすいので、これから力を抜いてお付き合いできますね。
4)特に話題はなくてもいい
特に言うことがなければ、何を話そうかと心配はいりません。先生から話題が出てきます。
先生のことをたずねても構いません。先生になった訳とか苦労とか。
気持よく時間を過ごせたらいいですね。
どこで対応、お茶は出す?
1)話す場所
玄関
家庭訪問のお知らせに、「玄関で」と書いてある学校が多いかと思います。
・・・実際に、公立の小学校では玄関で話すだけで家の中に上がることはないそうです。
主な目的が通学路の確認なので、また、プライバシーを重んじる意味もあるようです。
「どうぞお上がり下さい」と言っても構いませんが、先生は上がらないでいてくれます。
マンション1階のロビー、集会所
家までの通路を体験するのが目的なので、ロビー、集会所ではなく、先生からはお宅へ伺いたいと言われます。
2)時間
1日に8軒位回ることもあり、10分程度になっています。
3)お茶菓子など
形だけでも出したいですね。お茶を用意していると気持ちも落ち着きます。
でも、断られ飲んでもらえません。そういう決まりになっているからです…。
でも実は、各家庭でお茶を飲んでいるとどこかでトイレに行くことになり、予定の時間に次の家庭に行けなくなったりするからでもあります。
それにお茶を出してもらう時間がもったいないようです。その分話したいのですね。
ただ先生も、子供がお茶を出してくれると、口をつけないわけにはいかないようです。
でも、出してほしいわけではありません^^
ペットボトルのお茶を渡すのはやめた方が。荷物になりますから。
4)服装
シャツとパンツ、スカートなど、スーパーに買い物に行く格好、子どもと図書館に行く恰好で大丈夫です。
先生はスーツで来ますが、合わせる必要はありません。
5)兄弟、おばあちゃんの同席
小さい弟妹
こんな家族がいますよ、と最初にご挨拶させて、あとは部屋でビデオを見てくれるといいのですが^^人なつこい子だとそばを離れませんね。
場の中心にならなければOKです。
1年生の子も下の子がいると緊張しないですみます。
おばあちゃん
一緒に暮らしていたり、お母さんが仕事をしているので夕方子供を見てくれているお姑さんなどの同席は、先生としては歓迎です。
・・・具合が悪くて早引け、といった時の対応はおばあちゃんになるので、顔見知りになっておくといいですね。
また、毎日子どもと接するおばあちゃんと子どもとの関係、甘い・厳しいといった感じもみられたらいいかな、というところです。
ですが、主役はお母さん。
もし話し好きのおばあちゃんなら、先生もお母さんの方に話を振ってくれます。
お母さんもシニアパワーに負けずに先生と話しましょう。
6)仕事の都合がつかない、他の日に変えてもらえる?
変えてもらえません。「お電話でお話ししましょうか」と言われます。
・・・家庭訪問の目的の一つは、通学路の確認。家に誰もいなくて会えないとわかっていても、先生は予定の日にすべての家まで行きます。
だから、お母さんとは電話でお話しして、お知り合いになればOKなんですね。
先生は授業の準備や計画、事務仕事と意外に忙しいもの。残業も多いです。
心配なことがあったら、いつでも連絡帳や電話で相談なさってみてくださいね。
まとめ
何だかうっとうしい家庭訪問。
でも家の中までは見られることはないので、気楽に玄関先で先生を迎えましょう。
10分程度。お茶もお菓子も、なしで大丈夫です。
家庭訪問の目的は、
1)親と先生が気楽に連絡を取りやすいように、「顔見知り」になること。
2)「通学路」を確認して、子どもの安全をはかれるようにしたり、何かあったときに、先生がスムーズにお家を訪ねることができるようにすること。
家庭の雰囲気は、先生が学校で子どもと接する中で、また学級参観などを通して、だんだんわかっていくものでもあります。
家庭訪問は、「これからどうぞよろしく」という感じで、気持よく過ごして終わったら、大丈夫ですよ。