平安時代からつづく豆まきの習慣。
鬼を払って、福を招き入れるにはどういう手順をふめばよいのでしょう。
子供たちにはどんな役割があるのでしょうか。
ここでは、豆まきの伝統的なやり方について
・豆をまく場所の順番
・家族の役割分担(豆まき係など)
・豆まきする時間、用意するもの
についてご紹介します。
1豆まきのやり方
1)豆をまく場所の順番
初めに、すべての戸や窓を開けておきましょう。
豆まきは奥の部屋から始めて、順番に玄関へ向かいます。
↓
閉めきり係はすぐ窓を閉める
↓
室内に向かって「福は内」と豆をまく
2)玄関の方へと部屋を進んでまいていく
3)最後に玄関から外に豆をまいて玄関を閉める
最後に、玄関から鬼を追い出したら、豆まき終了!
玄関まで終わった時には、すべての外へ向かう窓や扉は閉められていて、もう鬼は入って来ることができません。
✔マンションでは
窓から外へまくと、下に人がいたり車が停まっていることもあって、危険ですね。
床に向かって思い切り強く、豆を投げつけましょう。
子どもは楽しくて、鬼は迫力に負けて逃げていきます。
2)家族の役割分担(豆まき係など)
豆まき係
:家長(父)または年男・年女
閉めきり係
:誰でも
鬼係
:パパ?*なくてもよい
1)豆まき係
家長か年男(現代では年女も)が豆をまきます。
-家長(世帯主)
豆まきの原型である追儺式(ついなしき)を主催したのは天皇や親王。
そこで家庭でも、家長が豆で鬼を払うことになりました。
-年男
2023年なら、卯(うさぎ)年生まれが年男。
「その年の干支生まれは吉運」とする考え方があり、年男には鬼を追う力があると考えられました。
現代では、年男・年女ともに、豆まき係をやって家族に幸運を招きます。
2)閉め切り係
豆をまいて鬼を追い払ったら、戻ってこれないようにすばやく窓をしめていく係です。
大人や、落ち着いたお兄ちゃん・お姉ちゃんがいいのですが、小さい子も面白がってやりたがるかもしれませんね。
3)鬼の係
-1鬼役は、いてもいなくてもいい
伝統的に、豆まきに鬼役はいません。
鬼は季節の変わり目に生まれる邪気(人間にはどうにもできない災厄)なので、本来は形がないんですね。
実体のない怖れや災害などが、鬼や妖怪などのしわざとされてきました。
-2鬼役は、大人が
鬼役は豆を投げつけられる、損な役回り。子どもには、あまり人気がありません。
鬼は強く!
パパやママは鬼役になったら、つよ~い鬼のパフォーマンスをしてあげましょう。やられるときも、思い切り激しく。
京都吉田神社、廬山寺などの鬼たちは、初めに雄叫びをあげ、金棒を振り回して強さを誇示します。
*鬼は怒り(赤鬼)悲しみ(青鬼)苦しみ(黃鬼)を象徴しています。
-3「鬼がいない豆まき」も経験させよう
お子さんが小さい家庭では、鬼役がいたほうが楽しいです。
でも「誰もいない暗い夜に向かって豆を投げる」という経験も、少し大きくなったら、させてあげてくださいね。
鬼のいない豆まきは、「ちょっとこわい、よくわからないもの」を追い払うというもの。
お子さんが、自分の心の中の暗いもの、怒りや憎しみ・不安などこわいことに打ち勝つという疑似体験になります。*大地震のあと、子どもたちは地震ごっこをしたりしますね。
不安やゆらぎを、安全な形で体験できて心を安定させますし、勇気や忍耐力にもつながります。
*マンションなら、電気を消した暗い室内にまいて、ササっと窓を閉めるなどちょっとだけ怖くして。
豆まきの時間、用意するもの
1)時間は夜
邪気が生じるのは夜です。
家族がそろって、外が暗くなってからだと雰囲気もあって、盛り上がります。
でも、神社や寺の節分会も、昼に行われたりしますね。お家の都合のよいときにやりましょう。
2)用意するもの
1福豆
豆は炒り豆。神棚など高いところ(本棚でも)にしばらく供えましょう。
神さまの気が入って「福豆」になるとされます。
2鬼の面・金棒
鬼の金棒は、新聞紙をグシャグシャに巻いて作ります。*そのまま巻くととても硬くなってしまいます。
ぐしゃぐしゃにしてから巻くと、鬼に向かってきた子どもにぶつかっても痛くない、やわらかい金棒ができます。
まとめ
豆まきは、家の奥から玄関に向かってすすみます。
豆まき係は、家長か年男・年女。実際には、子どもたちですね。
パパやママが逃げてくれて、小さい子たちにはとても楽しい日です。
年齢が上がったら、鬼のいない豆まきもやらせてあげましょう。ちょっと不安で、でも大切な体験になることを祈って。
みんなで邪気をはらって、よい春を迎えられますように!